連載
» 2007年11月30日 00時00分 公開

PMBOKガイドを開いてみようメンバーに贈るプロマネ基礎講座(1)(3/3 ページ)

[田中亮,グローバル ナレッジ ネットワーク]
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相互に影響し合うプロジェクトマネジメント・プロセス群(第3章2項)

 プロジェクトマネジメントの活動は、プロジェクトの立ち上げ、プロジェクトの計画、プロジェクトの実行、プロジェクト活動の監視とコントロール、プロジェクトの終結という、時間軸に沿った流れで分類することができます。そして、プロジェクトマネジメント・プロセスは、いずれかのグループに所属するように分類され、これらのグループの総称をプロジェクトマネジメント・プロセス群と呼びます。

☆立ち上げプロセス群
新しいプロジェクトやプロジェクト・フェイズを開始するために実行されるプロセスから構成されます。主に、プロジェクトが公式に認可されるための活動などが含まれます。

☆計画プロセス群
プロジェクトをどのように遂行していくかを計画するプロセスから構成されます。計画プロセス群には、プロジェクトをどのように進めていくかだけでなく、どのようにプロジェクトをマネジメントしていくかといった、プロジェクトマネージャの指針になるような活動も含まれます。

☆実行プロセス群
プロジェクトの計画書に従って、プロジェクト作業を実際に推進していくプロセスから構成されます。

☆監視コントロールプロセス群
プロジェクトは、独自の成果物を生成する活動ですから、時にはトラブルが発生したり、計画とは異なる方向へ進んでしまったりすることもあります。監視コントロールプロセス群の各プロセスは、プロジェクトの状況を監視し、プロジェクト計画とのギャップをチェックします。また、プロジェクト計画とのギャップが大きくなった場合は、是正処置を行い、プロジェクトの軌道修正を行うこともあります。

☆終結プロセス群
プロジェクトやプロジェクト・フェイズを公式に終了するためのプロセスから構成されます。

前述した通り、プロジェクトマネジメントの活動は、44個のプロセスにまとめています。この44個のプロセスはすべて上記のプロセス群のいずれかに属し、プロセスは相互に関与し合います。例えば、プロジェクトの実行に伴って、プロジェクト計画の見直しや修正が発生した場合は、計画プロセス群のプロセスを実施し、計画を修正したり、さらに詳細にしたりすることもあります。さらに、PMBOKでは、これらすべてのプロセスをすべて実行しなさいといっているわけではなく、どのプロセスを自分のプロジェクトに適用するのか、またどの程度詳細に適用するのかは、プロジェクトマネージャが責任を持って決定しなさいといっています。

 最初に述べたように、プロジェクトは独自の成果物を生成するための活動ですから、2つと同じものは存在しません。だれかが成功した方法とまったく同じ方法でプロジェクトを実行しても、同じように成功するとは限らないのです。

メンバーのための資格試験、CAPM試験とは?

 PMIが認定するプロジェクトマネジメントの資格の1つにCAPM(Certified Associate in Project Management)という試験があります。2007年9月末現在、全世界で3220人、日本には27人の資格保持者がいます。日本語での受験は2006年からで、まだ始まったばかりなので、これから増えていくことが予想されます(米国での開始は2004年)。世の中の流れに先駆けてCAPMホルダーになってみるのもよいかもしれません。試験の詳細は、下記の通りです。

 対象者 プロジェクトメンバー
プロジェクトリーダー
プロジェクトマネージャ候補
 前提条件 プロジェクトに参加した経験が1500時間以上あること
または、
プロジェクトマネジメントに関する研修を23時間以上受講していること
 試験の形式 コンピュータを使用した複数選択式
150問が出題され、ベータ問題の15問を除く135問が採点対象
 合格ライン 未公表
 試験の範囲 PMBOKガイドの12章分
 受験料 PMI会員:225US$
PMI非会員:300US$
図4 CAPM資格概要

 最後に、今回の範囲のおさらいで、演習問題を解いて終わりましょう。

演習問題

問題

 次の中でプロジェクトと呼べないものはどれでしょう ?

a. 夏休みの家族旅行

b. お客さまからの注文に基づき、商品を出荷した

c. 県議会議員に立候補した後の選挙活動

d. オフィスの引っ越し


正解

 b


解説

プロジェクトとは、独自の成果物を生成するための有期性のある活動ということでした。

 では、それぞれの選択肢を見ていきましょう。

選択肢a:家族旅行の成果物は、家族みんなの思い出や旅行を楽しむことです。旅行は毎回同じ場所に行くわけではありませんので、独自性があると考えられます。また、旅行は、例えば、旅行に行くと決めた日から、帰宅後写真を現像し、アルバムにまとめるまでといった開始と終了が定義できますので、有期性もあります。つまりプロジェクトと見なすことができます。

選択肢b:受注業務、出荷業務の記述です。これらの基幹系の業務は、企業が存続する限り、繰り返し実行されていきます。これは、定常業務の特徴であり、プロジェクトの持つ有期性はありませんので、プロジェクトとは呼べません。

選択肢c:選挙活動は、競争相手や環境などが異なり、毎回行うべき活動は異なりますので、独自性があります。また、開始は立候補したとき、終了は開票結果が出たときなどのように明確な開始と終了が定義できますので、有期性もあります。つまりプロジェクトといえます。

選択肢d:オフィスの引っ越しも、引っ越しする場所、時期、人など毎回異なる要素を持っていますので、独自性があります。また、期間も引っ越しの決定から、引っ越しの完了まで明確に定義できますので、有期性がありプロジェクトといえます。

筆者プロフィール

田中亮

グローバル ナレッジ ネットワーク

プロダクトマネージャ兼講師。保有資格は、米国PMI認定PMP、OCP:ORACLE MASTER GOLD。SEとして生産管理システムの開発を経て、グローバルナレッジへ転職。Oracle認定研修やデータベース関連コースの講師を担当後、PMPを取得。現在は、PM/SWEグループ プロダクトマネージャを担当する傍ら、講師としてプロジェクトマネージメントの研修やOracleの研修も実施している。いま関心のあることは、2人の息子の子育てと、ウイスキーを楽しむこと。



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