前回は、HAクラスタを構築できるオープンソースソフトウェア「Heartbeat」の主な機能を紹介しました。第2回は、Heartbeatのインストール方法を解説し、さらに基本的な設定内容を紹介していきます。(編集部)
前回は、「そもそもクラスタリングとは何か」「Heartbeatとは何か」という基本的な事柄について説明しました。
http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/heartbeat01/heartbeat01a.html
Heartbeatでかんたんクラスタリング第1回 Heartbeatの特徴とユニークな機能
それを踏まえて今回は、予告のとおり、Heartbeatのインストール方法を解説します。その後、Apacheを対象とした場合のサービスの設定法についても解説を加えていきたいと思います。
ここではOSとして、入手容易性や普及度も考慮してCentOS 4.5を使用し、ベースとなるOSのインストールは、Heartbeatのインストールを行う前にすでに終わっているものとします。ただし、インストール時にファイアウォールとSELinuxの設定は行わないようにしてください。
クラスタ構成は、1台がアクティブになりサービスを提供し、もう1台がスタンバイとなって障害に備えるという、最もシンプルな1対1の構成とします。
名称 | 意味 |
---|---|
ノード(node) | Heartbeatでは、クラスタを構成するサーバのことを指します |
リソース(resource) | Heartbeatが管理するサービスを指します。単にApacheやMySQLのような デーモン系のサービスのこともありますし、仮想IPのこともあります |
OCFスクリプト | Open Cluster Frameworkの略。Open Cluster Framework projectが 推奨するタイプのスクリプトです。/usr/lib/ocf/resource.d以下にあります |
LSBスクリプト | Linux Standard Baseの略。Linux標準で提供される /etc/init.d以下にある起動スクリプトです |
Heartbeatはオープンソースソフトウェアなので、ソースコードを入手し、ビルドした後にインストールすることも可能です。
しかし、CentOSを使用するならば、RPMファイルでインストールした方が管理上都合がいいので、ここでは、RPMファイルを入手してインストールを行います。幸い、CentOSではHeartbeatのRPMパッケージが提供されていますので、これを利用します。
CentOSのFTPミラーサイト(例えばftp.riken.go.jpなど)のCentOS 4.5のリポジトリ以下に「extras」というディレクトリがあり、そこにHeartbeatのパッケージが収められています。具体的なURLはftp://ftp.riken.go.jp/pub/Linux/centos/4.5/extras/i386/RPMS/のようになります。ここにはi386アーキテクチャ用のパッケージが置いてあります。そこにある、
heartbeat-2.1.2-3.el4.centos.i386.rpm |
が最新安定版、2.1.2のパッケージになります。
ただし、2.1.2リリース以降ではPolicy Engine(pengine)(注)に関して多数のバグが報告され、開発版のCVSツリーにおいて修正が施されています。従って欲をいえば、最新のCVSツリーのものを使用した方がよいでしょう。また、12月初頭には2.1.3のリリースが予定されているので、リリース後はそちらを使用してください。
注:Policy Engine(PE)は、Transition Engine(TE)とペアになって動作します。これらのプロセスが稼働しているノードをDCノードと呼びます。PEが現状から遷移グラフを作成し、TEがそれにのっとり実行命令を発行します。
Red Hat Enterprise Linux 4用のものは、Linux-HAの日本語サイトにて提供されています。
さらに、Debian、OpenSUSE、SLES、Ubuntuなどのディストリビューション用には、Heartbeat開発者の1人、Andrew Beekhof氏によってパッケージングされたものがOpenSUSEのサイトから入手可能になっています。ここで提供されているパッケージには、正式リリース後に報告されたいくつかのバグ修正も含まれています。これらのディストリビューションを使用している場合は、こちらを使用した方がよいでしょう。
さて、上記のパッケージを入手したら、Heartbeatサービスを使用するすべてのサーバ上(例では「surr」と「tomato」)で、root権限にて、
# rpm -ivh \ |
のように入力してインストールを行います。さらに、GUI管理ツールが必要な場合、
# rpm -ivh heartbeat-gui-2.1.2-3.el4.centos.i386.rpm |
として、インストールを行います。heartbeat-ldirectordは今回は必要ないので、インストールを行いません。
名称 | 各パッケージの説明 |
---|---|
heartbeat | Heartbeat本体や管理ツール、ドキュメント、マニュアルなどが含まれています |
pils | リソースエージェント(注)などのプラグインサービス用のパッケージです |
stonith | 前回簡単に説明したSTONITH機能提供のためのパッケージです |
gui | GUI管理ツール用のパッケージです |
ldirectord | Linux Virtual Serverによって提供されるサービス監視用のパッケージです |
注:リソースエージェント(RA)は、特定のクラスタリソースに関して、起動、停止、モニタなどの動作を記述したものです。OCF、LSB、Heartbeatタイプがあります。
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