1年4カ月の自習で、545点から925点に。独学で短期間にTOEICのスコアを上げた筆者が、英語力向上のノウハウを伝授する。
前回「16カ月の独学でTOEIC380点アップの秘けつ教えます」で、私が英語学習を決意したきっかけ、その後のTOEICスコアの推移を紹介しました。
今回は、英語学習の継続、目標の達成のために不可欠であり、最も重要ともいえる「モチベーション」についてお話しします。
各章で1つずつ、モチベーション維持の方法を紹介します。小手先のものから本質的なものまで、できる限り参考になる情報を提供したいと思います。
いかにしてモチベーションを維持するか。これは英語学習のみならず、あらゆるものに関して重要なことです。私の人生を通して研究すべきテーマでもあります。
強烈なモチベーションがあれば、人はものすごいことができます。プロスポーツ選手になることも、学者になることも、ビジネスで成功を収めることも、モチベーションがあって正しい手段を用いれば、たいてい可能になります。強烈なモチベーションさえあれば、英語学習なんて「へのかっぱ」です(失礼!)。
英語学習のモチベーションとは何でしょうか。例えば以下のようなものがあると思います。
ちなみに私の場合、1、2、3、6がモチベーションでした。
しかし、モチベーション維持について論じるのは難しいことです。その理由は、個人に依存する領域が大きいためです。まさに千差万別、人によって違いがありすぎるため、根源的なモチベーション維持について総論を述べたところで、あまり意味がないと思います。
つまり自らのモチベーション維持方法は、自らが考えることが重要になってきます。自らのモチベーションの維持に敏感になる。これが本質です。
「自分の英語学習のモチベーションは何だろうか」と自らに問い掛けてみてください。具体的に思いつかない人は、まだスタートすべきときが来ていないのかもしれません。
一番モチベーションレベルが高いのは、たいてい勉強を始めたばかりのときです。とにかく「いまは英語を勉強する時期だ」と決めて、何よりも優先して、強い決意で英語の学習に取り組みましょう。
この「何よりも優先して」が大事です。はっきりいって仕事よりも、プライベートよりも優先します。「少しくらい仕事の業績が下がっても仕方ない」くらいの気持ちで突っ走ることができれば、スタートダッシュ成功の可能性は高まります。プライベートでは周りの人にも理解を求めましょう。
できればスタートダッシュは、2カ月くらいは維持しましょう。私の場合は3カ月くらい維持しました。
スタートダッシュに成功すると、TOEICの点数は一気に上昇します。私の場合は545点(学習を開始した2007年2月時点の実績)→720点(2007年5月取得)でした。これを経験すると、英語学習が楽しくて仕方なくなります。
私の周りでもそうですが、「できるだけ勉強してからTOEICを受けよう」という人が多いようです。
これは、大切なモチベーション向上の機会を逃してしまっているといえます。「あまりに低い点数が残ってしまったらショックだから」というのがその理由なのですが、いつかは高得点を取ってやると本当に決心したのなら、逆に低い点数は好都合なはずです。たとえそれが200点であっても、300点であってもです。
連載第1回でも書きましたが、学習開始直後の点数が低い時点でのテスト結果を残しておくことが重要です。なぜなら、勉強の成果が目に見えやすくなるからです。
ある程度勉強してから受験したのでは、最初の地点から自分がどれだけ伸びたのかが分かりません。これでは、「絶対値」でしかモチベーションが得られません。たとえ絶対値が低くても、以前の自分の点数と比較した「相対値」が上昇していれば、立派なモチベーションになります。
こういう考え方こそ、自らのモチベーション維持に敏感になるということです。
実際に私自身も、925点という絶対値よりも、「545点から上昇した」という事実の方にうれしさを感じています。上昇できるということは、「将来はもっと明るい」ということだからです。
これは、TOEICを2カ月ごとに受け続けた私が、「これがベストな受験間隔だ」と感じたことによる結論です。
TOEICは年に10回実施されます。しかし、毎回受け続けるのは間隔が短すぎると考えています。「今度は点数が伸びそうだ」と思えるくらい、勉強する時間が欲しいところです。
実際は、正しい方法で1カ月間みっちり勉強すれば、成長の実感をつかむことはできます。しかしこれではずっと張りつめたままになってしまい、数回でバーンアウトし(燃え尽き)てしまうかもしれません。
2カ月ごとの受験は本当にいいリズムをつくれます。「取りあえずTOEICが終わったから、しばらくゆっくりしよう」という期間を設けることができます。そして1カ月がたつと「おっ、あと1カ月しかないじゃないか」と気付き、また気合を入れて取り組むことができます。仕事で忙しく、どうしても勉強時間が取れない時期があっても、2カ月ずっと続かない限りは勉強する時間を確保できます。
また、TOEICの結果は受験から3週間ほどしないと返ってきません。私はこれは遅すぎると感じており、IT屋としては「いったいどういうシステムになっているんだろう」と気になるところです。前回のTOEICは何点だったのだろうと、特に自信のあった回などは気になる状態が続きます。
3週間後、自分の学習の成果を確認して一喜一憂した後に、(良くても悪くても)新たなモチベーションを得て、アクセルをもう一度踏み込むというリズムが、私の場合は続きやすかったのです。
逆に間隔を空けすぎると、学習そのものをやめてしまう可能性があります。
「2カ月ごとに受ける」ということさえ決めていれば、試験のことを思い出すたびに刺激を受け、さぼっていてもまたやろうと思い直すきっかけになります。それに、2カ月以上連続でさぼらなければ、「ちょっと休んでいただけ……」という自分に対するいい訳も効きやすくなります(笑)。
この、自分にいい訳が効くというのも重要です。「さぼってしまった」と完全に敗北を認めてしまうと、モチベーションが急激に低下し、学習を再開するまでに長期間かかってしまうことになります。
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