日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は11月27日、同社のBladeSystem c-Class用に、1枚の10Gbpsイーサネットアダプタを複数に分割して使える機能を発表した。
これは同社のバーチャルコネクトモジュールの新機能。バーチャルコネクトとは、サーバブレードではなく、エンクロージャ(シャーシ)のスロットごとに仮想のMACアドレスやワールドワイドネーム(WWN)を持たせることができる機能。スロットに挿すブレードやそのアダプタを変更しても、仮想アドレスが維持されるため、機器交換の際に再設定の必要がない。
新発売の「HP BladeSystem c-Class 10/100GbバーチャルコネクトFlex-10イーサネットモジュール」(VC Flex-10)には、サーバブレードに装着した10GbpsイーサネットNICを仮想的に最大4ポートに分割できる機能が追加された。それぞれの接続帯域は100Mbpsから1Gbpsまで100Mbps単位で自由に設定できる。
同社のc-Class用サーバブレード「HP ProLiant BL495c Generation 5」(BL495c)は10Gbpsイーサネットポートを2つ搭載しているため、VC Flex-10を併用すると8ポート搭載しているのと同等になる。このブレードには今回同時発表の10Gbpsイーサネット2ポート増設用メザニンカード「NC532m」を最大2枚増設できるため、各ブレードに実ポートを最大6つ、仮想ポートは24個搭載できる。
サーバ仮想化を利用すると、サーバブレードごとにネットワークアクセス用、管理用、仮想マシン移動用と多数のNICが必要になるが、BL495cとFlex-10イーサネットモジュールを使うと、増設NICおよびスイッチのコスト低減につながるという。日本HPでは、例えばc7000エンクロージャにBL495cを16台搭載し、各ブレードを8ポート構成した場合に、他社製品を用いた構成と比較して1000万円以上の安くなるケースがあるとしている。
日本HPはほかにも、コスト削減につながる複数のソリューションを同時発表した。
システムコストを低減するもう1つの動きとして発表したのはSASストレージ共有を実現する「HP StorageWorks 3Gb SAS BLスイッチ」。同社はSAS接続に対応したストレージモジュール「HP StorageWorks Modular Storage Array 2012sa」(MSA 2012sa)を最近発売したが、3Gb SAS BLスイッチはMSA 2012sa内に構成した複数のRAIDグループを、ファイバチャネルのように各ブレードから別個に利用する、あるいは同時に利用することが可能。ファイバチャネルよりも使いやすく、同等の速度で価格も低いのが特徴。
同社では構成しやすいストレージ接続手法として、iSCSIにも対応している。しかし中小規模ではiSCSIにも抵抗感を持つユーザーが少なくないという。ネットワークに関するノウハウが不足しており、iSCSIは遅いというイメージもまだ根強く残っている。こうしたユーザーに対して、iSCSIよりもさらに設定が簡単で、内蔵ハードディスクを扱うのとほとんど変わらないながら、複数サーバから同時にアクセスできる環境を提供するのがSAS BLスイッチの目的だ。SASテープライブラリなどもつなげられる。
省電力ソリューションとしては新たなブレード「HP ProLiant BL460c Generation 5」、そしてc7000における新電源モジュールを発表した。BL460c G5は現行のBL460c G1と同等スペックだが、部材の見直しにより最大25%の省電力化を実現した。c7000エンクロージャ用電源モジュールは変換効率最大92%と、従来比5%アップ。最大出力も2250Wから2400Wに向上した。
さらに同社は「HP BladeSystem」関連製品とラックサーバの一部を、最大67%値下げした。
日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 本部長 橘一徳氏は、11月からの同社の2009年度を「原点回帰」の年だと表現。金融危機後の厳しいビジネス環境に対し、製品ポートフォリオの強化で臨みたいと話した。世界中で月20万台のサーバを生産しているスケールメリットを生かした価格優位性の強化に加え、日本生産やチャネルパートナー施策など、顧客の要望への対応に努めていくという。
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