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» 2009年07月14日 00時00分 公開

エンプロイアビリティを高める「キャリア仮説」論エンジニアも知っておきたいキャリア理論入門(13)(2/2 ページ)

[松尾順,シャープマインド]
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エンプロイアビリティを高めるための3つのワーク

 次に、前項で示したエンプロイアビリティを構成する4つの能力を高めるためにやるべきことをご説明しましょう。これについて佐々木氏は、次の3つのワークがあるとしています。

●1.フィールドワーク(現場で実践する)

 実際に仕事をしたり実地調査をしたりすることで、現実世界、あるいは現実に近い世界で体験しながら学習し、専門能力を身に付け、さらに磨き、アウトプットを出し、同時に自分の実績をつくるというワークです。

 佐々木氏は、「フィールドワークは、キャリア創造そのもの」だといっています。現場で考え、試し、人とコミュニケートし、学ぶ、こうしたプロセスを通じて、前述した「キャリア仮説」がどの程度自分にしっくりくるものかどうかを検証することができます。

●2.コンセプトワーク(考える)

 コンセプトワークとは、自分について探求し、ビジョンを設定し、戦略を立て、行動を計画していくワークです。具体的には以下のような点について整理して、どのような未来を描き、どう行動していけばいいのかについてデザイン(設計)していきます。

  • 自分の歩いてきた歴史
  • 仕事の実績・社会的評価
  • 志向と夢
  • 技術(今後の可能性も含めて)
  • パーソナリティ
  • 人脈
  • 生き方
  • 環境・制約条件
  • 可処分資産

 佐々木氏によれば、コンセプトワークの中で一番重要なのは、自分が生まれてから現在までの歴史という財産を素材として、経験したこと、感じたことの意味を考え、自分の「論理と物語」について想像的に整理していく作業です。

●3.ネットワーク(人とつながる)

 ネットワークは、人、社会とつながり、相互に刺激しあいながら、情報や仕事をやりとりして人間関係を創造していくワークです。キャリア創造の視点からは、ネットワークには次の4つの意義があります。

  • 仕事に関連する貴重な情報を得ることができる
  • 自分自身に関する評価を知ることができる
  • 協力者・支援者を得ることができる
  • 自分の役割を知ることができる

 佐々木氏は、上記3つのワークをより良いものにし、エンプロイアビリティを高めるために自分のテーマを追求できる「環境」(考える場、働く場、人と出会う場など)を創造すること、そして専門能力を磨くための「学習と訓練」に資源とエネルギーを投下することが必要だと補足しています。

企業の「エンプロイメンタビリティ」を見極める

 働く側からの“雇用される能力”がエンプロイアビリティですが、企業側からみた「ビジネスパーソンから、働く場として選ばれる能力」を「エンプロイメンタビリティ」と呼びます。あなたが、自分のエンプロイアビリティを高めたければ、エンプロイメンタビリティの高い企業を選ぶ必要があります。具体的には以下のような質問に合格する会社かどうかがポイントです。

  • 他社でも通用するだけの専門能力を磨くことができるか
  • 質の高い最先端の情報が得られるか
  • 将来役に立つ人脈が得られるか
  • プロとしてのマインドが磨かれるか

 新卒学生は就職先に対し、あいかわらず「安定性」や「待遇の良さ」を重視する傾向があります。所属する企業に雇われ続ける、ほかの企業に好条件で転職できる、あるいはやりたい仕事を続けることのできる「エンプロイアビリティ」を獲得するためには、勤務先に上記のような条件がそろっているかどうかを見極める必要があります。

参考
▼『キャリアの教科書』佐々木直彦著、PHP研究所

筆者紹介

松尾 順(まつお じゅん)

 1964年福岡県生まれ。早稲田大学商学部出身。市場調査会社、IT系シンクタンク、広告会社、ネットサービスベンチャー、ネット関連ソフト開発・販売会社を経て、2001年より有限会社シャープマインド代表。マーケティングリサーチ、広告プロモーション企画&プロデュース、Webサイト開発企画&プロデュースを多数手掛ける一方、キャリア理論や心理カウンセリング、コーチングを学び、主に個人を対象とするキャリアアドバイザーとしての仕事を増やしてきている。顧客心理の理解向上を目指す「マインドリーディング・ブログ」主宰。「シナプスマーケティングカレッジ」講師。



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