仕事での利用に耐えうる機能や使い勝手が、iPhone/iPod touchのメール・クライアントにはあるのか? Windows管理者の視点で探る。
いまさらいうまでもなく、電子メールはビジネスに不可欠の通信手段だ。会議の案内、顧客との打ち合わせ情報、ちょっとした備忘録、資料配布などなど、ほとんどの情報がメールに集約されているという人も多いだろう。このように便利なメールではあるが、基本的にパソコンがなければ利用できない。携帯電話にもメール機能があり、これに転送すればどこでも気軽に使えるが、いかんせん携帯メールは機能不足で十分に使えなかったり、狭い画面でストレスがたまってしまったりする。
第1回で触れたように、iPod touch/iPhoneもメール・クライアント(メーラ)を標準装備しており、電子メールの送受信が可能だ。この手のひらサイズの端末なら、携帯電話のように持ち歩きが可能で、画面も携帯電話よりは広そうだし、文字入力も携帯電話のテンキーよりは簡単そうだ。iPod touchの場合はWi-Fi無線ネットワークが前提になるが、場所を選ばないメール情報端末として使えるのではと考えた方もいらっしゃるはずだ。
しかし、仕事での利用に耐える機能が提供されているのか気になるところだ。そこで本稿では、iPod touch/iPhoneのメール機能について探ってみる。先に種明かしをしてしまえば、iPod touch/iPhoneのメーラはPOPだけでなくIMAPにも対応しており、Exchange Serverとのメール同期もサポート、SSLにも対応し、添付ファイルはPDFや、一部の機能制限はあるもののWordやExcelのファイルも表示できるという優れものだ。一般的な用途であれば、必要十分な機能が備わっているといってよい。
まずは、メール・アカウントのセットアップから見ていこう。
iPod touch/iPhoneは標準で、POPやIMAPによるメール受信と、SMTPによるメール送信に対応しており、これらの規格に対応するメール・サーバとメールのやりとりが可能だ。またExchange Serverのモバイル向け通信仕様「ActiveSync」にも対応し、Exchange Serverとメールの同期が可能だ(連絡先や予定表の同期も可能。Exchange Serverとの連携機能は別途解説する予定)。そのほか、GmailやYahoo!メールなど著名なメール・サービスには専用のウィザードが用意されていて、セットアップが簡単にできるようになっている。なおiPhoneの場合、通信キャリアであるソフトバンク提供のIMAPアカウントが標準で利用できる。
またPCでOutlook 2003/Outlook 2007/Outlook Expressのいずれかを使っている場合、そのメール・アカウント設定をiPod touch/iPhoneにコピー(同期)できる(パスワードだけは同期されない)。これにより、いちいちiPod touch/iPhoneにメール・サーバ名やIDなどを入力しなくても、パスワード入力だけで簡単にメール・サーバとの接続をセットアップできる。
メール・アカウントのセットアップ・ウィザードを実行すると、SSLで暗号化してメール・サーバと通信できるかどうかを確認し、成功したらSSLあり、失敗したらSSLなしで通信するように自動で設定される。またプロトコルごとにおおよそ決まっているデフォルトの通信ポートを自動的に調査するので、SSL暗号化に伴うセットアップの面倒はない。OP25B(Outbound Port 25 Blocking)にも対応しており、メール・サーバが対応していれば自動的にサブミッション・ポート(TCPのポート587番)を使って送信するように設定される。
企業のメール・サーバでは、むやみに攻撃されないよう、デフォルトとは異なる通信ポート番号を割り当てていることもあるだろう。iPod touch/iPhoneでは、メール・アカウントのセットアップ時にメール・サーバの欄に「<メール・サーバ名>:<通信ポート番号>」という形式で入力すれば、通信ポートを変更できる。
以上のように、iPod touch/iPhoneのメール・アカウントのセットアップでは、なるべくユーザーに手間をかけさせないように工夫されている。また通信ポートの変更など特殊な設定にも対応できる。PCのメーラにメール・アカウントをセットアップできるユーザーであれば、iPod touch/iPhoneでも容易にセットアップできるだろう。
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