VDIにおける1つ目のゴールがデスクトップの仮想化であることは間違いないだろう。しかし、仮想デスクトップ上でユーザーが利用するのはアプリケーションであり、このアプリケーションの集中管理機能を追加することで、VDIをさらに進化させることができる。その大まかなイメージは下図のとおりだ。
具体的には、Application Virtualization(通称App-V)の機能を利用し、アプリケーションを仮想化することでOSから独立させ、集中管理を行う。App-Vのアプリケーション管理者は、どのマシンにアプリケーションを展開するか、ということは意識しない。あくまでも、アプリケーションを社内に展開するか否かと、誰に(どのグループの人に)使わせたいかを意識して設定するだけで済む。
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仮想デスクトップ側はというと、もちろん各アプリケーションをインストールする必要はない。インストールしておくのはApp-Vクライアント・モジュールだけだ。このモジュールはSysprep前のテンプレートVHD作成時にインストールしておくことも可能だ。
今回はApp-Vの詳細には触れないが、Active Directoryのグループと密に連携することによって、App-VクライアントはApp-Vサーバとやり取りし、仮想マシンにユーザーがログオンしたとき、そのユーザーに割り当てられたアプリケーションを利用できるようにセットアップしてくれる。
また、App-V のクライアントはApp-Vサーバからストリーミング配信された仮想アプリケーションをローカルにキャッシュできる。最新のApp-V 4.6からは、仮想デスクトップに近いところにある(すなわち素早くアクセスできる)SANやNAS上に共有キャッシュを持つことが可能となり、違うユーザーがログオンするたびに、同じデータをダウンロードしてキャッシュする必要がなくなった。これは、同一かあるいはよく似た構成の仮想マシンをたくさん稼働させるVDIのことを、かなり意識した拡張といえるだろう。
本稿では触れなかったが、さらなる応用として、App-Vで管理するアプリケーションをRemoteAppサーバに展開し、それをリモートから利用するという手法もある。下記のドキュメントなどを参考にして挑戦していただきたい。
VDIポータルは企業内VDIの顔になる。手間暇をかけるポイントではないが、せめて左上に大きく表示される名前だけでも変えたいというニーズはあるだろう。
VDI管理画面の[リモート デスクトップ接続マネージャー]を右クリックしてプロパティを開くと、「接続の設定」タブに[表示名]というテキストボックスが表示されるので、好きな名前に変更する。
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以上の設定まで終わったら、完成したVDIポータルにアクセスして、実際にVDI環境を試していただきたい。
さて、本当の最後となるが、本連載で説明してきた手順を下図にまとめてみた。
VDIはその挙動に特殊な部分があるため、多岐にわたる設定が必要だった。しかし、1つ1つの設定には意味があり、1つの図に整理をするとそれほど難しいものでもない。マイクロソフトのVDIに慣れてきたら、この全体像の図だけで設定がスムーズにできるだろう。
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