――プログラミングを全然したことがない人には、どの言語がお薦めですか。
扇田 その人が何をしたいかによりますが、「なでしこ」でしょうか。なぜかというと、私が最初に触れたのが「なでしこ」の前身である「ひまわり」という言語だったのです(筆者注:「ひまわり」は2008年以降のバージョンアップはなく、現在は後継言語として「なでしこ」が開発されている) 。しかも、「なでしこ」はオブジェクト指向言語なんですよ。どのプログラミング言語にもあるような機能を、自然な日本語で記述することができます。最初に何かしてみたいと思っている人にはお薦めですね。
――プログラミングの基礎勉強には最適ということですね。
扇田 はい、実用性もそれなりにあると思います。初めてプログラミングのことを勉強するにはもってこいですね。公式の質問掲示板があるので、分からない点も質問できます。
――独学で日々いろいろ勉強されていると思うのですが、自分なりの勉強の進め方などはありますか。
扇田 プログラミングに関しては、“書き出す”ことです。学んだことをブログやメモ帳に書き出す。自分なりにまとめて解釈することは大事だと思います。
――それならWikiとかが役に立ちそうですね!
扇田 あとは、実践できる限りやってみること。書籍やインターネットにあることは、できるだけ試してみる。実際にやってみないと覚えられないじゃないですか!(笑)
――確かにそうですね(笑)。
――最近は何に興味がありますか。
扇田 サーバを複数台使って負荷分散することや、冗長性を高める技術に興味があります。そういった実用的なことをこれから学んでいきたいです。それから、最近になって組み込み(マイコン)プログラミングを始めました。
――おっ、組み込み系ですか。なぜ始めたのですか。
扇田 組み込みやハードウェアに詳しい友達が大学にいて、その人に影響されて始めました。ロボットを作ったり、無線操縦で何かを動かしたりという“ものづくり”を組み込み系でやりたかったのです。今までは、Webアプリケーションなどソフトウェア開発のことばかり考えていて、ソフトウェア寄りの勉強が多かったのです。ハードウェアのことは全然知らなかったので、いい機会かなと思いました。
――組み込み系を始めてみて正直な感想はどうですか。
扇田 ハードウェアとソフトウェアが一緒になって初めて、コンピュータは動作しますよね。どちらか一方だけでは動かない。今まであまり気にしなかった内部の構造のことを考えながらのプログラミングなので、すごく新鮮ですね。
――現在は大学2年生とのことですが、将来は何を目指していますか。
扇田 目指しているのはネットワークエンジニアです。ソフトウェアにも興味はあるのですが、それを支えているのがサーバやネットワークですよね。コンピュータ間のつながりもネットワークがないと成立しない。クラウドにしてもそうですね。その基盤を陰ながら支えられるエンジニアになりたいです。
――10年〜20年後、情報分野はどのように発展していると思いますか。
扇田 Androidが出始めてから、まだ5年くらいですよね(筆者注:Androidの初リリースは2008年9月)。5年でここまで変わるのだから、10年たてばもっと変わっているのだろうと思います。10年後にはもしかしたら、今はやっているSNSもなくなっているかもしれません。
――10年前の2003年は、SNSなどのサービスは一般的ではなかったですもんね。
扇田 2003年にはTwitterもなかったじゃないですか。もしTwitterというサービスが始まってなかったら、今ごろどうしているのかなと。少なくともこれからクラウド化は進み続けるでしょうし、どこでもネットワークがつながるようになって、スマートフォンやタブレットが今よりもっと進化していると思います。何か新しい形態にはなっていてほしいですね!
――最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
扇田 何にでも言えることですが、あきらめない精神が大切だと思います。私もよく挫折してあきらめそうになりますが、あきらめずにやっていれば意外と良い結果になったりします。うれしいことがあったり……。だから、あきらめずにいろいろとチャレンジしてもらいたいですね。
――なるほど、あきらめない精神は大切ですね。今日はどうもありがとうございました。
「ライバルに学べ! 学生スターエンジニアに聞く」第9回、いかがでしたでしょうか。
取材をしていて、「1つのことだけでなく、多方面でいろいろなことを勉強する」という扇田さんの前向きな姿勢にとても感心しました。「飽き性」と言い換えられるかもしれませんが、むしろこれは長所だと思います(第3回のmiskyさんも「飽き性は武器」と話しています)。プログラマやエンジニアに求められるものは幅広い知識です。いろいろなことを勉強し知識として蓄えておけば、いつかは役に立つでしょう。「1つの分野にこだわらず、広い視野で物事を見る」ことが重要なのではないでしょうか。
最後になりますが、IT業界を目指している学生の皆さんへ。初心を忘れずに、失敗してもいいから、何事にもチャレンジしてください。きっといい結果になるはずです。今後、一人でも多くの方とIT業界でお会いできることを楽しみにしています。短い間でしたが今までありがとうございました。それでは、またどこかでお会いしましょう!
前平敏志(HN:サトにゃん)
大阪府在住の専門学校生。2011年4月、高校卒業後に大阪府内の情報系専門学校に進学。
情報系非営利団体の役員やライターとして取材・執筆なども手掛ける。主に情報技術全般や電子機器・家電製品について興味を持つ。さまざまな活動に参加し、日々勉強・挑戦する毎日を送る。
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