さて、アジャイルソフトウェア開発に原則があることは分かりましたが、それに近づいていくためには、まず何をすればいいのでしょうか。この答えは簡単です。近づいていくための仕組みを作ればいいのです。原則の中に次の項目があります。
チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。
この項目はまさに、アジャイルソフトウェア開発の導入過程そのものを表現しています。そして、アジャイルソフトウェア開発の最もポピュラーなフレームワークである「スクラム」には、この原則に対応したプラクティス、「ふりかえり」があります。自分たちの開発をアジャイルにしたければ、最初に始めるべきなのは「ふりかえり」です。
最初にやることが決まった「ふりかえり」ですが、実は「ふりかえり」にも決まったやり方はありません。アジャイルソフトウェア開発は何から何までオーダーメイドなのです。
とはいっても実践している人が大勢いて、コミュニティがありますから、一般的なやり方を知ることはできます。クレイでは「オブラブ」のふりかえりガイドをベースに始めることにしました。やり方を簡単に説明すると、以下のようになります。
上の説明は簡略化してありますので、実践する場合はぜひ「プロジェクト ファシリテーョン 実践編 ふりかえりガイド」(PDF)を全部読んでみてください。
ところで、「ふりかえり」も“やり方”の1つですから、当然改善の対象になります(つまり、「ふりかえり」で「ふりかえり」のやり方を改善します)。以下にクレイで改善してきたことを挙げてみます。
クレイでは「ふりかえり」を導入することで、自分たちのやり方を評価し、次に必要なことを参加者全員の合意の上で決めていく習慣ができました。アジャイルソフトウェア開発というくくりには、さまざまなプラクティスが含まれますが、残りのプラクティスは「ふりかえり」の中で導入するかどうか、導入するとしたらどのようにやるか、を決めていけば良いのです。
次ページでは、クレイでアジャイル化の初期に導入したプラクティスを挙げてみます。
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