もし、持ち歩いているiPhoneが盗まれてしまったら一大事! 事前にできる対策の一つ「アクティベーションロック」とは? その効果や限界、設定方法、注意点について解説。
対象OSとハードウェア:iOS 7以降、iPhone/iPad/iPod touch
持ち歩くiPhone/iPad/iPod touch(以下、まとめて「iPhone」と略す)にとって無視できない危険といえば、盗難が挙げられるだろう。盗まれたiPhoneからの情報漏えいもさることながら、端末を転売されて二度と手元に戻らないといった被害も無視できない。
そこで活用したいのが、アップル提供の「アクティベーションロック(Activation Lock)」というセキュリティ機能だ。本TIPSでは、アクティベーションロックの大まかな仕組みと有効化の手順、そして何が守られ、何が守られないのか、説明する。
アクティベーションロックをひと言で表すなら、iPhoneとApple IDをひも付けることで、そのApple IDのパスワードを知っている人以外は、そのiPhoneを自由に使えないようにする、という仕組みのことだ。
具体的には、ひも付けたApple IDのパスワードなしでは、次のことができなくなる。
「iPhoneを探す」とは、GPSなどから得られる位置情報を利用して、離れたところからiPhoneの現在位置を特定する機能のことだ。詳細は右のTIPSを参照していただきたい。
アクティベーションロックで前述の機能をブロックすることが、いったい何の役に立つのだろうか? 簡単に言えば、盗難されたiPhoneが転売され、行方不明になる可能性を下げることができる。
転売目的でiPhoneを盗む犯罪者の立場で考えると、それを正当な中古品に見せかけて転売するには、持ち主の痕跡を全て消し、新たな購入者が不自由なく利用できるようにする必要がある。
アクティベーションロックをしていなかった場合、iPhoneは簡単な操作でリセットできる。これで持ち主に関わる情報はきれいさっぱりなくなる。新たなユーザーは何の不都合もなくそのiPhoneを使い始められる。
一方、アクティベーションロックをあらかじめオンにしておくと、まず「iPhoneを探す」機能により、離れたところからでも持ち主がiPhoneの現在位置を確認できる。
ここでiPhoneの窃盗犯が「iPhoneを探す」機能をオフにしようとしても、持ち主のApple IDのパスワードを入力するまで、オフにはできない。そこでiPhoneをリセットしようとしても、前述のように[設定]からのリセットはブロックされる。
さらにiPhoneを強制的にリセットしても、その後の初期設定ウィザードでApple IDのパスワード入力が求められる。当然、正しいパスワードを入力するまで、そのiPhoneを使い始めることはできない。
こんな状態では中古品として転売することは難しいだろう*1。
このようにアクティベーションロックをオンにしておくと、リモートから「iPhoneを探す」ことが可能で、かつ転売が難しくなることから、iPhoneが持ち主の手元に戻る可能性が高まる、というワケだ。
*1 完動品としてではなく、同型のiPhoneを修理する際のパーツ交換用として、アクティベーションロックがオンのiPhoneが通常の中古品の半額以下で売買されることはあるようだ。また、窃盗犯が「アクティベーションロックは解除済み」と購入者を騙して売りつける可能性もあるものの、これはアップルが提供しているiPhoneのシリアル番号やIMEI(識別番号の一種)でアクティベーションロックが解除済みか判定するサービスによって事前に確認できる。
その一方で、アクティベーションロックそのものではiPhoneからの情報漏えいを防止できない。
アクティベーションロックをオンにしても、持ち主以外の人がiPhoneを操作することは可能だ。パスコード/パスワードを設定するなどして、iPhoneの操作をブロックしておかないと、メールや連絡先、写真、動画、SNSなどなど、あらゆるプライバシーがiPhoneを直接操作できる人には閲覧できてしまう(エクスポート機能によって丸ごと窃取される可能性だってある)。
ただ、アクティベーションロックをオンにしておけば、「iPhoneを探す」機能によってリモートからiPhoneのデータを消去することは可能だ。それでも、必ず情報が漏えいする前に消去できるとは限らない。
また、iPhoneの盗難そのものや紛失についても、アクティベーションロックでは防止できない。
アクティベーションロックが役に立たないと主張しているのではない。上記のような危険性については別の対策を講じるべき、ということだ。
アクティベーションロックをオンにするには、iOS 7以降にアップグレードしたiPhoneで、「iPhoneを探す」機能をオンにする。これによって自動的に、「iPhoneを探す」機能に設定したApple ID(=iCloudへのサインインに用いたApple ID)がアクティベーションロックとひも付けられる。
アクティベーションロックを解除するには、上記の画面で[iPhoneを探す]のスライダーをオフにして、ひも付けたApple IDのパスワードを入力する。
これまでの説明で明らかなように、アクティベーションロックの要(かなめ)はひも付けたApple IDのパスワードである。もし、そのApple IDのパスワードが漏えいしたら、アクティベーションロックによるブロックがことごとく解除できてしまうので、もはや意味をなさない。
またApple IDのパスワードを忘れてしまうと、いざというときに「iPhoneを探す」機能で盗難に遭ったiPhoneを探したり、リモートからデータを消去したりできなくなる。このように、Apple IDの管理には十分に注意すべきだ。
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