阿部川 社長として、同時に二人のお子さんの母親として、心掛けていることはありますか?
三浦 いつも仕事と家庭、二つのことを平行して同時に考えています。「子どもたちの今日のスケジュールはどうだったかな」とか「夜、何か予定があったかしら」などと同時に、「営業の誰々は今どの顧客と何の案件で会っているか」「重要顧客とのディナーの予定はいつだったか」などを考える感じです。これらをバランスよくやるのは、そう簡単ではありません。
毎朝、自分にこう言い聞かせます。「今日一日をしっかりやれれば、それでいいのだ」と。そして毎週月曜日の朝は、「今週一週間をしっかりやれば、それでいい」と。犠牲にしなければならないことは、もちろん多々あります。しかしそれでもやってこれているのは、母であることに、情熱を感じるからです。
同時に私は、マークロジックでの仕事に、今私たちが創り出しているこの世界に、情熱を感じています。これは単なる仕事ではありません。テクノロジがより良い未来を必ず創り出すことを、私は心の底から信じています。
母であること、素晴らしいテクノロジに携わっていること、この二つが私を動かす情熱の源です。おそらく、いつもちょっと寝不足かもしれません。でも、永遠にこの状態が続くわけではありません。
子どもたちはじきに大きくなりますし、マークロジックも次のステージへの進化を遂げるはずだからです。今のところ私はどちらにも必要とされているようですので(笑)、できる限りのことを成し遂げたいと思います。
阿部川 お子さんたちが生きていく将来の環境をまさに今、創っている。それがあなたのプライドなのですね。実際に働いてみて、日本の東京と米国のシリコンバレーでワーキングマザーが働く環境の違いをどう感じていますか?
三浦 私には東京の方が仕事がしやすいです。シリコンバレーでは、片道45分以上車に乗って通勤し、その間はハンドルを握ってイライラすることしかできません。しかし東京では、通勤中でもより生産的に仕事ができます。
ノートPCを持ち歩いていれば、東京では電車やタクシーの中でも仕事はできますし、少し疲れたらカフェテリアなどで一息つくこともできます。たとえ夕方早めに退社しても、子どもたちが寝るまで一緒に時間を過ごし、その後自宅で仕事ができます。子どもたちとはメールでやりとりができますし、テクノロジのおかげで、どこにいても、どんな時でも、大抵はメールを読んだり返事したりできます。
このように東京では効率よく生活できるので、毎日多くのことをやり遂げられるのです。シリコンバレーだったら、これほど楽しく、また生活しやすく毎日を送れるだろうか、と思います。
ワーキングマザーとして気付いたことを二つお話しします。一つ目は、ノートPCを一人一台持つだけで、驚くほど生産性が上がり、ワークライフバランスに良い影響を与えることです。皆さん、ぜひノートPCを活用すべきですし、企業は従業員に提供した方がいいと思います。
二つ目は、日本には外国人のワーキングマザーを対象にしたサービスが各種あることです。チャイルドケアサービスなどは、本当に重宝しています。私は、日本で働く全てのワーキングマザーがこのようなサービスを利用できるようになり、過度な負担を強いられることなく、仕事と生活の両立をできるようになればいいなと思います。
生活するにも、仕事をするにも、日本は世界で一番素晴らしい環境の国だと思います。多くの素晴らしい人、モノが、この国には備わっています。
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