アップグレードしたWindows 10を元のWindows 7／8.1に戻す（復元する）：Tech TIPS（2/2 ページ）

» 2016年03月17日 05時00分公開

[島田広道，デジタルアドバンテージ]

●Windows 10が起動できない、または［設定］アプリが開けない場合は？

　Windows 10が正しく起動できないといった理由で［設定］アプリが起動できない場合、上記の手順では元のWindows 7／8.1に戻せない。そんなときはWindows 10の「回復環境」から元に戻せる。

　それにはまずWindows 10のインストールメディアを用意する。これはTIPS『「Windows 10のダウンロード」ツールでWindows 10インストール用のUSBメモリを作る』で説明している手順で、USBメモリまたはDVD-Rに作成できる。Windowsが正常に起動できない場合は、Windows 7以降を搭載した別のPCを用意して、作成していただきたい。

　次に、作成したインストールメディアから起動したら、セットアップウィザードの2番目の画面から［コンピューターを修復する］－［トラブルシューティング］－［詳細オプション］－［以前のビルドに戻す］とクリックする。

　「目的のオペレーティングシステムを選んでください」と表示されたら［Windows 10］を選び、次の画面で［以前のビルドに戻す］ボタンをクリックすると、元のWindows 7／8.1に戻す作業を開始できる。

Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その1）
前述の手順で作成したWindows 10のインストールメディアから起動すると、このダイアログが表示されることがある。
　 （1）［No］ボタンをクリックして、Windowsのセットアップウィザードへ進む。［Yes］ボタンをクリックすると、アップグレード後のWindows 10が再び起動してしまう。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その2）
Windows 10のセットアップウィザードが表示される。
　 （2）必要であれば、PCに合わせてキーボードなどの設定を変更する。
　 （3）［次へ］ボタンをクリックする。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その3）
　 （4）［コンピューターを修復する］をクリックする。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その4）
　 （5）［トラブルシューティング］をクリックする。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その5）
　 （6）［詳細オプション］をクリックする。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その6）
　 （7）［以前のビルドに戻す］をクリックする。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その7）
　 （8）Windows 7／8.1からアップグレードした場合でも、ここでは［Windows 10］をクリックすること。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その8）
　 （9）［以前のビルドに戻す］ボタンをクリックすると、実際に元のWindows 7／8.1に戻す作業が始まる。以後は作業を中断できないので十分に確認してから進めること。

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Windows 10の回復環境を利用してWindows 7／8.1に戻す（その9）
ここからは特に操作する必要はなく、単に待つだけだ。画面の背景色が青色の状態で、「以前のビルドに戻す準備をしています」といったメッセージが表示される。その後、再起動して画面の背景色が黒色に変わり、「以前のバージョンの Windows を復元しています」といったメッセージが表示される。これが終わって再起動後、元のWindows OSが起動すれば作業は完了だ。

　後は、元のWindows 7／8.1のログオン（サインイン）画面あるいはデスクトップが表示されるまで待つ（やはり数回の再起動が自動的に実行される）。

●元のWindows 7／8.1に戻す際の注意点

　アップグレード後のWindows 10で実施した操作や作業によっては、ここまで記した手順では、元のWindows 7／8.1に戻せなかったり、データが失われたりすることがある。以下、特に注意すべき点を説明する。

■ディスクをクリーンアップすると元に戻せなくなる

　Windows 7／8.1からWindows 10にアップグレードする際には、次のフォルダにWindows 7／8.1のシステムファイルなどがバックアップされる。

C:\$Windows.~BT
C:\Windows.old

　通常、これらのフォルダにはシステム属性が付けられているため、エクスプローラーでは表示されず、簡単には削除できない。

　だが、C:ドライブのクリーンアップを手動で実行するか、31日以上経過すると、ディスク領域の節約のためにこれらは自動的に削除されてしまう。すると前述の手順で元のWindows 7／8.1に戻せなくなるので要注意だ。

　［設定］アプリの［システム］－［更新とセキュリティ］画面で、「このPCを初期状態に戻す」を実行した場合もアップグレード前のWindows OSに戻せない。

■アップグレード後にアカウントの追加／削除をすると元に戻せなくなる

　アップグレード後にユーザーアカウントを新規追加した場合は、元のWindows 7／8.1に戻す作業を始める前に、そのアカウントとユーザープロファイルを削除する必要がある。そうしないと、元に戻すためのウィザードの冒頭でアカウントの削除を求めるメッセージが表示され、ウィザードが終了してしまう。

　また以下のマイクロソフトのドキュメントによれば、アップグレード後に何らかのユーザーアカウントを削除した場合も、元に戻せなくなるとのことだ。

Windows 10 の回復オプション（このページの「以前のバージョンの Windows に戻す」の項を参照）（マイクロソフト）

■元の状態に戻るとは限らない

　実際に元のWindows 7／8.1へ戻そうとしたユーザーが掲示板やフォーラムなどに投稿した報告を見ると、必ずしもこの作業が成功するとは限らないようだ。例えば、

C:ドライブをクリーンアップしていないにもかかわらず、元に戻すためのウィザードを続行できなかった
インストールされているアプリケーションやデータは残っているが、それらを呼び出すショートカットなどが削除され、以前のように起動できなくなった
スタートメニューに表示されるユーザープロファイル内の各フォルダへのリンクが、「Documents」「Pictures」「Music」のように英語表記に変わった

といった症例が報告されている。

　また筆者がインストールメディアから起動してロールバックを試したときには、ロールバック中に「再起動しています」と表示されたまま先に進まなくなり、強制的に手動で再起動せざるを得ないことがあった（ただし、その後はロールバックが完了して、元のWindows 7が起動した）。

　その他にも、前述のようにウィザードの途中で、元に戻した後に「一部のプログラムは再インストールが必要になります。」と警告される。特に元のOSがWindows 8.1の場合、元に戻してからメールやPeopleなど標準装備のストアアプリが動作しなくなったら、Windowsストアから再インストールする必要があるとのことだ。

　少なくとも「元に戻せる」からといって、バックアップもせず、気軽にWindows 10へアップグレードするのは避けた方が賢明のようだ。

■アップグレード後に変更したファイルは、バックアップしてから元に戻すべき

　前述のウィザードでは、Windows 10へアップグレードした後に変更されたユーザーデータを事前にバックアップすることを勧めている。通常は元に戻したWindows 7／8.に反映されるものの、それに失敗する可能性もある、と考えるべきだろう。

　もしアップグレード後のWindows 10で何らかのデータの追加や修正をした場合は、元に戻す前にも、ユーザーデータのバックアップはしておくべきだ。

　一方、アップグレード後のWindows 10に対して行った設定変更については、元のWindows 7／8.1に戻すと失われてしまう。

　その他のアップグレードトラブルについては、次の記事一覧ページを参照していただきたい。