デザイナーと企業を結ぶ「99designs」のPatrick Llewellyn氏に、マーケットプレースが世界のデザイナーに与える可能性について、そして東京オリンピックのエンブレム盗用疑惑について伺った。※Llewellyn氏から日本のエンジニアへのメッセージ動画付き
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。第8回はPatrick Llewellyn(パトリック・ルウェリン)氏にお話を伺った。
2015年に日本語サービスが始まったデザインマーケットプレース「99designs(ナインティナインデザインズ)」が世界中のデザイナーにもたらす可能性とは何か。個人のエンジニアやデザイナーのみならず、今後グローバル市場を相手に起業したい読者の参考にもなるはずだ。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 99designsとはどのようなサービスですか?
Patrick Llewellyn(パトリック・ルウェリン:以降、ルウェリン氏) ロゴなどのデザインを求めるクライアントと、仕事を求めるデザイナーをつなげるマーケットプレース(※)です。
クライアントが「求めるデザイン」への要求を提示し、それにデザイナーが作品を提出して応募し、取り引きが成立すれば報酬が支払われる、という仕組みです。また、100万人以上の世界中のデザイナーが参加するコミュニティーでもあります。
グローバル化は2011年から開始しました。2012年9月にドイツ語、12月にフランス語、翌年の3月にスペイン語、その後イタリア語、オランダ語と、順次ローカライズを行いました。2013年にブラジルで、2015年に日本でサービスを開始しました。
ローカライズは、サービスそのものに加え、カスタマーサポートも行っています。また、支払い担当プロバイダーが複数社あるので、世界中どこでもその国のタイムゾーンで決済がなされます。
阿部川 グローバル展開をしているということは、「スキルはあるけれども、仕事のチャンスがない」デザイナーに、平等に仕事の機会を提供できるわけですね?
ルウェリン氏 インターネットのサービスは地域や立場に限定されませんので、世界中で仕事をすることが可能です。インドネシアのデザイナーも、ヨーロッパのデザイナーも、米国の仕事を請け、ドルベースで賃金を得られます。それはデザイナーにとって素晴らしい機会になるでしょうし、場合によっては人生が変わっていきます。
米国国内でも、日中は別の仕事をしていて夜のみデザインの仕事をしている人、現役の大学生、キャリアを積みたい人など、さまざまな立場のデザイナーが99designsを利用しています。フリーランスのデザイナーが仕事を見つけたり、フルタイムのデザインワークの仕事を見つけたりできる可能性もあります。
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