正しい「残業ゼロ」の実践法仕事が「つまんない」ままでいいの?(30)(3/4 ページ)

» 2017年06月21日 05時00分 公開

管理されていない案件管理

 とはいえ、現状のままでは残業ゼロを達成できません。重要度や優先順位を決めて、案件を削っていくしかありません。そこで、まずは「どんな案件があるのか」をあらためて整理することから始めました。

 それまでは、案件をExcelシートに記載して管理していました。

  1. 案件が発生したらExcelシートに書き込む。開発メンバー以外に、ユーザーから問い合わせを受けた運用メンバーが書き込むこともある
  2. 開発メンバーがそれぞれ、自分が関係していそうな案件を見つけて、自身の判断でどの案件から取り組むかを決める
  3. システムを開発し、リリースしたら消し込む

 情報システム部全体で案件を共有していたというよりも、担当者個々人が判断する運用だったため、案件全体のボリューム感をつかんでいる人がいませんでした。また、リストのメンテナンスが行き届いておらず、何がどこまで終わっているのかが正しく把握されていませんでした。

 「今、何をすべきなのか」が明確でないために、取りあえず残業で回していたのです。

 残業ゼロに取り組むためには、個々人の努力よりも情報システム部全体で何とかしなければならないことが分かりました。そこで、「案件の優先順位を決め、開発するかしないかを判断する会議」を作りました。また、誰もが案件や優先順位を共有できるよう、「Webベースの案件管理システムを入れよう」と上層部に提案しました。

 プロパーの社員を会議体に巻き込んだり、案件管理の仕組みを変えたりするのは容易ではありませんでした。一部のプロパーからは「何でこんなことをしなくちゃいけないんだ」という反発もありました。けれども、これらをしなければ残業ゼロなど実現できません。会議の必要性を説明したり、案件管理システムのデモ環境を作って実際に見せたりしながら、その意味を説いて回りました。

 「何で外注の私がこんなことをしなくちゃいけないんだ?」とも、正直思いましたけどね。

 軌道に乗るまで半年ほどかかりましたが、会議体を作り、新しい案件管理の運用が始まったら、「今、何をすべきなのか」が分かり、情報システム部みんなで共有できるようになりました。開発しないと決まった案件も、個人の判断ではなく情報システム部の総意としたので、ユーザーに説明しやすくなりました。

 ちょうどそのころです。常駐先の業績が回復し、「残業OK」に変わったのは。

 「もう、遅いよ!」と思いました。しかし同時に、「今までの残業しなければ回らない仕事のやり方は、あれはあれで問題だったな」とも思いました。

 現場には「残業しなくても仕事ができる仕組み」が残りました。

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