エンタープライズ用途での利用が増えている「WordPress」の高速化チューニングテクニックを解説する本連載。今回は、「WordPressアプリケーションレベルで実施する高速化チューニング」のポイントを解説します。
前回は、「WordPress実行環境としてのサーバのセキュリティ対策」と「開発者がWordPressアプリケーションを開発する際に実施すべき対策」のポイントを解説しました。今回は、WordPressアプリケーションレベルで「もっと高速化する」テクニックを紹介します。
WordPressの高速化チューニングと聞いて、皆さんはどういった手法が思い浮かぶでしょうか? 具体的には、本連載「とにかく速いWordPress」のバックナンバーをご覧いただくのも良い方法の1つですが、その他に「WordPress 高速化」とインターネットで検索してもさまざまな手法が見つかります。今回の高速化チューニングの手法を紹介する中で、重要になるキーワードは、「キャッシュ」です。
キャッシュとは、クライアントからサーバにリクエストされたレスポンスの内容を高速にアクセスできる記憶領域に保存しておき、同様のリクエストに対するレスポンス取得を速める仕組みです。通常、キャッシュには有効期限が設定されています。それが切れたらサーバが再度レスポンスを生成し、以降、それを繰り返します。
Webでのキャッシュは、WebサーバやCDN(Content Delivery Network)サーバ、DNS(Domain Name System)サーバ、あるいはクライアントマシンなど、さまざまな環境や端末で使われています。ここでは「Webサーバ内のキャッシュ」で説明します。
キャッシュを活用すれば、Webページの読み込み速度が高速化される一方で、以下の課題もあります。
WordPressのパフォーマンス改善のために、キャッシュに関係するプラグインなどを使って高速化を試みてみたものの、上記に挙げた問題に悩んだ人は多いかもしれません。この問題はどちらも、取得するページの内容を「全体的にキャッシュ」してしまうことが要因です(図1)。
では、キャッシュする範囲を「部分的」にできるとしたらどうでしょうか。図1の右のように、サイドバーの一部分、グローバルナビゲーションバー、フッターナビゲーション部分など、どのユーザーにも共通で表示され、ある程度長期間キャッシュしても影響がない部分にフォーカスしてキャッシュできれば、問題を回避できます。
今回のテーマは、この「部分キャッシュ」をおいしく使う方法です。部分キャッシュはWordPressコアが提供するキャッシュ機能として重要な機能の1つです。ぜひ押さえておきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.