業務アプリの互換性対応や、いざというときの代替策などのために、新旧2つのバージョンのOfficeアプリをローカルインストールして使用しているユーザーは少なからずいるでしょう。今回は、そんな筆者のWindowsコンピュータで最近何度か遭遇するようになった怪現象と、そのおはらい方法を紹介します。
現在、サポートされているWindows向けOfficeアプリケーションには、インストール形式の違いにより、主にボリュームライセンス製品で提供される「Windowsインストーラー形式(MSI版)」のOfficeと、Office 2013以降主流となった「クイック実行(Click to Run:C2R)版」の2つが存在します。非推奨であり、幾つかの留意点や制限事項もありますが、インストール形式が違う場合、異なるOfficeバージョンを同一のコンピュータ上にインストールして使い分けることができます。
また、以前はクイック実行版のOffice 2016とOffice 2013は共存できない仕様でしたが、C2R版Office 2016バージョン1609(ビルド7369.x)以降は、アプリケーションが異なる場合のみ、クイック実行版の別バージョンを共存できるようにもなりました。サポートされるOffice製品の組み合わせや、制限事項については、以下の公式ドキュメントで説明されています。
筆者は、もともと共存が可能であったMSI版Office Professional Plus 2013と最新のC2R版Office 365 ProPlus(Office 2016バージョン)を同じコンピュータ上にインストールしています。Office 2013はWord 2013とExcel 2013だけを選択的にインストールし、Office 365 ProPlusは「半期チャネル」の更新チャネルで使用しています。
旧バージョンを残している主な理由は、最新バージョンの更新の影響で、ExcelアプリケーションやWordアドインが機能しなくなった場合の代替方法を確保するためです。実際、一時的にですが、過去に何度か最新バージョンで機能しなくなったことがありました。
C2R版Officeは、問題発生時に以前のバージョンにロールバック(正確には以前のバージョンを指定しての更新)することができます。ですが、その手順はあまりにも面倒なのでやりたくないのです(コマンドラインで詳細なバージョンを指定する必要があります)。旧バージョンの利用環境を残していれば、最新バージョンの問題が次の更新で解消されるまで一時的に代用できます。
筆者は、最新のOffice 2016バージョンのアプリを既定で使用しています。ところが、ある日突然、Word文書やExcelワークシートをエクスプローラーからダブルクリックして開いたときに、アプリの外観に違和感を覚えました。アプリのバージョン情報を確認すると、Office 2013バージョンのアプリが、ファイルに関連付けられた既定のアプリとして起動していたのです(画面1)。
怪現象はこれだけではありません。ファイルの種類(拡張子)ごとに設定された既定のアプリを確認すると、「Microsoft Word文書」は「Word 2016」に関連付けられているのですが、その「Word 2016」が2つ存在するのです(画面2)。
エクスプローラーの右クリックメニューの「プログラムから開く」も、同じようにおかしな状態になっています(画面3)。さらに、Windows 10のスタートメニューでExcel 2016のアイコンを右クリックして「最近使ったもの」のリストからファイルを選択すると、「選択した項目は利用できません」といわれてしまいます(画面4)。もちろん、ファイルの保存場所は変わっておらず、エクスプローラーで確認すれば確かにその場所に存在します。
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