【 zipcloak 】コマンド――ZIPファイルの暗号化と暗号の解除を実行するLinux基本コマンドTips(243)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、ZIPファイルの暗号化と暗号の解除を実行する「zipcloak」コマンドです。

» 2018年09月21日 05時00分 公開
[西村めぐみ@IT]
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 本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回はZIPファイルの暗号化と暗号の解除に使う「zipcloak」コマンドです。

zipcloakコマンドとは?

 「zipcloak」はZIPファイルの暗号化や暗号の解除(復号)に使うコマンドです。ZIPファイルを作成したり、内部からファイルを取り出したりすることはできません。つまり、ZIPファイルを暗号化して同じ内容のZIPファイルを作成したり、暗号化されたZIPファイルから暗号が解除されたZIPファイルを作り出したりするためのコマンドです。

 ZIPファイルの作成にはzipコマンド(連載第34回第36回第37回)を使い、ZIPファイルから元のファイルを取り出す際にはunzipコマンド(第35回第37回第38回)を使用します。

 ZIPファイルの作成と同時に暗号化することもできます。そのためには、zipコマンドの「-e」オプション(「--enc」「--encrypt」オプション)を使用します。unzipコマンドでファイルを取り出す際のオプションは不要です(第37回)。



zipcloakコマンドの書式

zipcloak [オプション] ZIPファイル名

※[ ]は省略可能な引数を示しています





zipcloakの主なオプション(検索パターン関連のオプション)

短いオプション 長いオプション 意味
-d --decrypt 暗号を解除する(間違ったパスワードを入力した場合はZIPファイルを元のまま上書きする)
-O ZIPファイル名 --output-file ZIPファイル名 暗号を解除したZIPファイルの保存先を指定する(元のZIPファイルはそのまま残る)
-b パス --temp-path パス 一時作業用のディレクトリを指定する
-q --quiet 動作中のメッセージを表示しない


ZIPファイルを暗号化する

 「zipcloak ZIPファイル名」で、暗号化されていないZIPファイルを暗号化します(※2)。ZIPファイル名の拡張子は省略できます。

 コマンドを実行すると「Enter password:」というプロンプトが表示されます。ここでパスワードを入力します。続いて、「Verify password:」というプロンプトに従って、同じパスワードを再入力します(画面1)。

 元のZIPファイルをそのまま残し、暗号化したZIPファイルを別に作成したい場合は「-O」(--output-file)オプションで新しいZIPファイル名を指定します。

※2 書き込み権限がないファイルは、「-O」を指定した場合でも暗号化や暗号の解除ができない。なお、暗号化するとファイルサイズがわずかに増えるものの、暗号化前後で、zipinfoコマンドの表示内容はファイルサイズ以外、変化しない。



コマンド実行例

zipcloak ZIPファイル名

(ZIPファイルを暗号化する)

zipcloak mydata.zip

(mydata.zipを暗号化する。「.zip」は省略可能)

zipcloak -O encmydata.zip mydata.zip

(mydata.zipを暗号化してencmydata.zipに保存する。「.zip」は省略可能)


画面1 画面1 ZIPファイルを暗号化したところ


ZIPファイルの暗号を解除する

 「zipcloak -d ZIPファイル名」で、ZIPファイルの暗号を解除して、同じ名前のZIPファイルを出力します。実行すると、「Enter password:」というプロンプトを表示します。パスワードを入力してください(画面2)。

 間違ったパスワードを入力した場合、「decrypting: ファイル名……」というメッセージを表示し、ファイルの暗号を解除しません(画面3)。

コマンド実行例

zipcloak -d ZIPファイル名

(ZIPファイルの暗号を解除する)

zipcloak -d mydata.zip

(mydata.zipの暗号を解除する。「.zip」は省略可能)(画面2画面3

zipcloak -d -O decmydata.zip mydata.zip

(mydata.zipの暗号を解除してdecmydata.zipに保存する。「.zip」は省略可能)


画面2 画面2 ZIPファイルの暗号を解除したところ
画面3 画面3 誤ったパスワードを入力したところ


パスワードを変更する

 zipcloakにはパスワードを変更するオプションがありません。「zipcloak -d ZIPファイル名」で暗号をいったん解除して、あらためて「zipcloak ZIPファイル名」で暗号化するとよいでしょう。



筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『Accessではじめるデータベース超入門[改訂2版]』『macOSコマンド入門』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


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