ここまでは「相場価格」を知ることの大切さをお話ししてきました。そろそろ「それは分かったけど、どうやれば給料が上がるの?」という声が聞こえてきそうなので、エンジニアとしてどうしていくかのヒントをお話しします。
企業がエンジニアを採用するのはなぜか? それは「ソフトウェアを使ってビジネスを成功させるため」です。ビジネス面での需要がなければ、どんなに高い技術を持っていても高値がつくことはありません。
エンジニアの「ビジネス面での需要」には幾つかタイプがあるので、順に見ていきましょう。
問題解決力
ビジネスの課題をエンジニアリングのスキルで解決してくれる、という当たり前だが大切な能力です。
特に自社でサービスやプロダクトを事業として展開している企業にとっては、市場に素早く価値を届けられるかどうかが生死を分けるといっても過言ではありません。ビジネス面での課題を素早く的確にソフトウェアで解決できる人には、自然と高値がつきます。
単にコードを書く能力ではなく、課題解決のための総合的な能力が要求されます。曖昧な要求を設計や仕様として形にするために自発的に動き、プロダクトとして実装し、継続して改善していくことを「ビジネス側に手間をかけさせず」やっていけるエンジニアに高値がつくことは、容易に想像できるでしょう。
レアな技術力
ソフトウェアが解決すべき領域は常に広がり続けています。ビッグデータ、FinTech、機械学習といった言葉がバズワードになるのは、需要が急激に高まった証拠です。そして急激に高まった需要は、値上げを引き起こします。
市場が急激に広がるとき、そこで求められるスキルをいち早く身に付ける、というのは戦略の一つとして悪くありません。実際の現場では「専門家にエンジニアリングを教えるより、エンジニアに専門教育をした方が早い」などといわれる場合もありますので、基礎的なエンジニアリングの能力があり、需要をいち早くキャッチできれば、ステップアップを有利に進められるでしょう。
広告宣伝力
近年Webサービスを提供する企業がOSSのコミッターを雇用し、フルタイムでOSSの開発をさせるケースが増えています。そのOSSが自社プロダクトのプラットフォームに使われていれば直接的なメリットはありますが、それ以外に「広告宣伝力」も期待されているのです。
そのエンジニアが在籍していることで会社やサービスのプレゼンスが向上し、優秀なエンジニアの興味を引き、エンジニア採用に貢献する。広告宣伝力を持ったエンジニアには、このような価値から高値がつくこともあります。
OSSにコントリビュートする、ブログ、雑誌記事、書籍などを書く、イベントやカンファレンスで発表する。そういう蓄積をしていくことで自分の価値を上積みでき、結果として自分の価格を押し上げることにもつながります。
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