エンジニアもバックオフィスも、全ての人がそれぞれのシーンで、仕事に一生懸命取り組んでいると思います。でも、どんなに自己評価が高くても、「仕事の評価は周りがするもの」というのもまた、事実でしょう。
もし、「一生懸命仕事をしているのに、最近、何か評価されていない感じがするんだよな」と思ったら、次のことをチェックしてみてください。
私たちは「ほめられたい」「評価されたい」「ありがとうと言われたい」といった承認欲求を誰しもが持っているものです。けれども、自分の承認欲求を満たすことだけに一生懸命になっていると、周りが見えにくくなってしまいます。
先に示した質問に対して考えてはみたものの、「よく分からない」「うまく答えられない」こともあるでしょう。ひょっとしたら、うまく答えられない人の方が多いかもしれません。
また、「そもそも、社長や上層部から中長期目標を聞いていない」「(売り上げ○億円達成のような)実感できる目標ではない」「会社の理想が自分の理想とは違う」「“目的とかいいから、取りあえずこれをやっておけ”と言われている」といった、マネジメント層に問題であることも多いものです。
その場合は、自分なりの「仕事の目的」を考えてみてはどうでしょうか。このときのポイントは、主語を「私」から「周り」に切り替えることです。なぜなら、評価は周りがするものだからです。
例えば、冒頭の野球部マネジャーX子ちゃん。彼女の行動の動機は、「選手たちから『ありがとう』と言われるのが(私は)うれしい」でした。この場合の主語は、「私」です。
しかし、評価をするのは監督や選手です。そこで、主語を「監督」や「選手」に変えてみます。この場合なら、「監督が(または、選手たちが)、私に『ありがとう』と言う」となります。こうすると、視点は「私」から「周りの人」になるはずです。
続けて、「私のどんな行動によって、監督や選手たちが私に『ありがとう』と言うのか」「彼らは何を望んでいるのか」を考えてみます。その中には、「いつもきれいなボールやユニフォームでプレイがしたい」もあるかもしれませんが、「甲子園に行きたい」「もっと強くなりたい」など、彼らが抱いている「目標」や「理想」もあるはずです。
ビジネスシーンなら、主語を「選手」から、「同僚」「上司」「顧客」などに置き換えてみてください。
ここまでのお話に、「会社や上司が向かっている方向や仕事の目的を考えることの大切さは分かるけれど、それは自分が望んでいる理想とは違う」「自分を殺して、周りに合わせるなんてまっぴらごめんだ」と思った人もいるでしょう。
確かに、いくら評価するのは周りの人だとしても、自分が望んでいる理想と懸け離れた環境で働き続けるのは、ちょっとツライですよね。また、「会社の理想に従え」と言われたところで、自分にウソはつけません。
その場合は、「5年後も、今とずっと同じ状況が続いていたらどうなるか」を想像してみてください。もし「それは嫌だな」と思うなら、「リーダー的な仕事を引き受けて、働きやすい環境を自分で作る努力をする」「転職する」といった、意志を貫く覚悟や行動も必要になってくるでしょう。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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