【 pinfo 】コマンド――Infoフォーマットの文書などを閲覧するLinux基本コマンドTips(281)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、infoフォーマットの文書などを閲覧する「pinfo」コマンドです。

» 2019年02月14日 05時00分 公開
[西村めぐみ@IT]
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 本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、infoフォーマットの文書などを閲覧する「pinfo」コマンドです。

pinfoコマンドとは?

 「pinfo」はinfoフォーマットの文書やmanコマンド用のファイルを対話的に閲覧するコマンドです。

 infoコマンド(連載第279回)とほぼ同じ機能を備えていますが、infoコマンドとの違いはカラー表示であること、キーを設定ファイル(/etc/pinforcや~/.pinforc)で割り当て可能であることです。デフォルトのキー配列はviライクになっています。

 pinfoコマンドがインストールされていない場合は、CentOS環境では「yum install pinfo」、Ubuntuでは「apt install pinfo」で導入できます。いずれも管理者権限が必要です。sudoコマンド(第68回)などを利用してください。



pinfoコマンドの書式

pinfo [オプション] [対象]

※[ ]は省略可能な引数を示しています。





pinfoの主なオプション(※1)

短いオプション 長いオプション 意味
-m --manual Infoフォーマットの文書ではなくmanコマンド用のファイルを参照する
-f --file 参照するファイル名を指定する
-r --raw-filename -fと同じ
-a --apropos 指定したInfoフォーマットの文書やmanコマンド用のファイルが見つからなかった場合、aproposコマンド(man -k相当)を実行する
-p --plain-apropos マニュアルを表示せず、aproposコマンド(man -k相当)を実行する
-c --cut-man-headers manのヘッダが繰り返し表示される場合、繰り返し部分をカットする
-s --squeeze-manlines 連続した空行を1行にまとめる
--node=ノード名,--node ノード名 指定したノードを開く
--rcfile=ファイル名,--rcfile ファイル名 pinfoの設定ファイルを指定する(デフォルトは/etc/pinforcや~/.pinforc)
-x --clear-at-exit 終了時にスクリーンを消去する

※1 一部のオプションは、設定ファイル(/etc/pinforc)によってデフォルトでオンになっている。



pinfoの主なキー操作(基本操作)

キー 操作内容
↑,k 1行上へ
↓,j 1行下へ
Page Down 1画面分下へ(表示中のノード内)
Page Up 1画面分上へ(表示中のノード内)
スペース 1画面分下へ(前後のノードも含む)
b 1画面分上へ(前後のノードも含む)
Home,H 現在表示しているノードの一番上へ
End,e 現在表示しているノードの一番下へ
l+数字 指定行へ(プロンプトに続いて行番号を入力)
q,Q 終了

pinfoの主なキー操作(ノード間の移動)

キー 操作内容
→,Enter リンク先のノードへ移動
←,h 1つ前に表示していたノードへ移動
g,m 指定したノードへ移動
p,P 前のノードへ移動
n,N 次のノードへ移動
d,D ディレクトリ(最上位のノード)へ移動

pinfoの主なキー操作(検索)

キー 操作内容
s,S 文書全体から検索
/,「,」 現在表示しているノード内で検索
f 再検索


コマンドのレファレンスマニュアルを参照する

 「pinfo コマンド」で、該当するコマンドのレファレンスマニュアルを表示します(画面1)。指定したコマンドのInfoファイルがない場合はmanコマンド用のファイルを表示します(※2)。manコマンド用のファイルを表示したい場合は「-m」オプションを使用します。

※2 CentOS環境において筆者が試した限りでは、「コマンド名.info」ファイルが存在するものは「pinfo コマンド名」で表示できる。だが、例えば「coreutils.info.gzに含まれているlsコマンド」の場合は「pinfo コマンド名」では表示できず、「man ls」相当の内容が表示された。「info ls」に該当する内容は、オプションや対象を指定せずに「pinfo」のみで起動し、「coreutils」のリンクを開き、「ls」を検索することで表示できる。



 Info形式で書かれた文書は階層化されており、各項目を「ノード」と呼びます。pinfoコマンドでは、画面の先頭行に参照しているファイル名(File:)、現在のノード(Node:)、次のノード(Next:)、上の階層(Up:)を表示します。

 キー操作は設定ファイル(/etc/pinforcや~/.pinforc)で設定可能です。デフォルトでは1行単位のスクロールは上下矢印キーまたは[j]と[k]、画面単位のスクロールは[PageUp]と[PageDown]で行います。

 ページ単位のスクロールはスペース、同じく逆スクロールは[b]キーで行うことも可能です。この場合、現在表示しているノードの端まで表示すると、自動で前後のノードを表示します。文書全体を読み通したい場合はスペースキーでスクロールするとよいでしょう。

 pinfoコマンド全体を終了するには[q]キーを使います。

コマンド実行例

pinfo コマンド

(指定したコマンドのInfo文書を表示する、存在しない場合はmanコマンド用のファイルを表示する)

pinfo -m コマンド

(指定したコマンドのmanコマンド用のファイルを表示する)


画面1 画面1 pinfo grepを実行したところ


リンク間を移動する

 表示内容のうち、リンク部分を地の色と異なる色で表示します。色は設定ファイル(/etc/pinforcや~/.pinforc)で設定可能です。

 リンクのデフォルト色は青で、現在選択中のリンクを赤で表示します。なお、表示範囲の中にリンクがある場合は上下の矢印キー、または[j]と[k]で前後のリンクへ移動できます。

 リンク先のノードを表示するには、[Enter]キーまたは[→]とします(画面2)。元のノードに戻るには[←]キーを使います(画面3)。

画面2 画面2 リンク先に移動しようとしているところ
画面3 画面3 画面2から移動したところ


文書内で検索する

 文書全体から文字列を検索したい場合は[s]または[S]を使い、現在表示しているノードの中で文字列を検索したい場合は[/]または[,]を使います。

 いずれの場合も、画面の最下段にプロンプトが表示された後、検索したい文字列を入力します(画面4)。[Enter]キーを押すと、該当箇所を太字で表示します(画面5)。同じ文字列を使って繰り返し検索したい場合は[f]キーを押します。

画面4 画面4 文字列を検索しようとしているところ
画面5 画面5 文字列を検索した結果


筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『Accessではじめるデータベース超入門[改訂2版]』『macOSコマンド入門』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


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