サービスメッシュのスタートアップ、Tetrateは2019年3月13日(米国時間)、ステルスから脱出して正式デビューした。同社は「TetrateはEnvoyとIstioを活用し、数十億ドル規模のネットワーキング市場をディスラプト(創造的破壊)する」と述べている。
サービスメッシュのスタートアップ、Tetrateは2019年3月13日(米国時間)、1250万ドルの資金調達を行い、ステルスモードから脱して正式デビューした。同社はプレスリリースで、「TetrateはEnvoyとIstioを活用し、数十億ドル規模のネットワーキング市場をディスラプト(創造的破壊)する」と述べている。
Dell Technologies Capitalがリードしたこのシード資金調達ラウンドには、Cisco Systemsの元シニアバイスプレジデントであるパンカジ・パテル(Pankaj Patel)氏や、VMwareの元クラウド&ネットワーキング担当最高技術責任者(CTO)で、現在はYubicoのチーフプロダクトオフィサーであるグイド・アッペンツェラー(Guido Appenzeller)氏も個人として参加している。
Tetrateは同日、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)に加入し、Google Cloudとは「ハイブリッドクラウド環境(すなわち「Cloud Services Platform」)における協業」を発表した。EnvoyをリードしているLyftのエンジニア、マット・クライン(Matt Clein)氏も、同社の活動を支持している。
TetrateのCEO、ヴァルン・タルワー(Varun Talwar)氏は、GoogleでIstioを生み出した一人。同社にはEnvoyのコア・メンテナー、Istioの中核的なエンジニアなどが参加しているという。同社は現時点では製品を持たないが、基本的にはサービスメッシュを企業やクラウドで使いやすいものにしていくという。
サービスメッシュをうたう技術/製品は複数あるが、Tetrateはデータプレーンとして、CNCFの「卒業プロジェクト」であるEnvoy、コントロールプレーンでは(Envoyをデフォルトで利用する)Istioを用いた製品を開発中としている。
「Tetrateはこうしたプロジェクトを、エンタープライズグレードの拡張性、パフォーマンス、エコシステムアダプターで補完する一方、パブリック/プライベートクラウドにおける仮想マシンベースのブラウンフィールド環境に適用できるように拡張する」という。
すなわち、まず一般企業が採用しやすいように、検証済みのEnvoy/Istioをサポート付きで提供。運用および他の製品の統合を容易にするツールを提供することになる。
Tetrateが何を目指しているかについては、「KubeCon + CloudNativeCon 2018詳報(4):サービスメッシュについては、何が議論されているか」という記事で紹介した、Istioプロジェクトの創始メンバーの一人、スリラム・ラジャゴパラン(Shriram Rajagopalan)氏の、以下のコメントにもヒントがありそうだ。
Istioプロジェクトの創始メンバーであるラジャゴパラン氏は、混在環境への対応の重要性を指摘した。
ラジャゴパラン氏によると、短期間でマイクロサービスに完全移行する組織は少ない。移行は段階的に進むことが多く、長期にわたり既存システムが残り続けることも十分考えられる。従って、「マイクロサービス化=Kubernetes上のコンテナ環境への移行」であったとしても、サービスメッシュの機能はKubernetes環境に閉じたものであってはならない。IstioがKubernetesに加え、Cloud Foundry Application Runtimeやサーバ仮想化環境に対応しているのはそのためだと話した。
関連して、Istioプロジェクトで現在強化しようとしている機能の一つは、データアクセス管理だという。
「例えばサービスメッシュを構成するサービスのそれぞれが、同じデータセンター内のOracleデータベースにアクセスしているかもしれないし、Salesforceのデータにアクセスしているかもしれない。徐々に重要なデータがクラウドやSaaSに移行すると、情報漏えい防止はますます困難な作業になってくる。サービスメッシュでは重要なデータがどこにあるか、何がどのデータにアクセスしているかを可視化できるため、データアクセスセキュリティ確保のための重要な武器になる」(ラジャゴパラン氏)
もう一つの注力分野としてラジャゴパラン氏が指摘するのはフェデレーション。「Kubernetesクラスタを、パブリッククラウドの複数のアベイラビリティゾーン(AZ)やリージョンで動かしたり、オンプレミスとパブリッククラウドで動かしたりし、これら複数のクラスタを単一のサービスメッシュとして管理したいニーズは高まる。こうした利用形態への対応を進めていく」という。
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