責任年限は、基本的なルールの例を以下のように定めました。もちろん組織やシステムの特性によって異なるとは思いますが、切り口はおおむねこうしたものが必要ではないかと考えます。
システムの特徴 | 設定する年限(例) |
---|---|
年次処理がある | 1年2カ月に設定 |
データがたまって初めて分かる不具合がある | データがたまる期間以上に設定 |
長期に渡って使用されない機能がある | その使用時期を包含できる期間に設定 |
使用される時期が特定できないシステム(処理)がある | 1年に設定し、以降は保守契約で対応 |
特段考慮すべき特性がない | (従来の瑕疵担保と合わせた場合)1年に設定 |
見積もりの精査は、「1」「2」の結果なども考慮して詳細に検討する必要があります。
少し注意しなければいけないのは、実際の作業はやってみなければ分からないことが多いので、安全をみてなるべく多めに工数を積みたいけれど、それをやり始めるとキリがない、という点です。
そこで、作業内容が不確定の部分は、何らかの「前提」を置いて上限を付けます。「不確定部分については、別途見積もりとする」「××時間の範囲で実施する」などの前提を付けると、見積もりを抑えられるかもしれません。
ここに挙げたのは、あくまで一例です。しかし、少なくとも、契約不適合責任に関しては、双方の不信感をしっかりと理解し、かなり突っ込んだ話し合いをしないと、本当の意味での合意は難しいと思います。また、そうして決められたものでも、本当にそれが妥当な契約であったかどうかは、やってみないと分からないところもあります。そこで、「この契約は、1年後にもう一度見直す」などの約束を付けるのも良いかもしれません。
民法改正をきっかけに、本当に腹を割って話すことができれば、契約内容が自ずと見えてくるだけではなく、ベンダーとユーザーが真のパートナーになれるのではないか。そんな期待感も私は持っています。
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