最新サーバOS「Windows Server 2022」のリリースに続いて、最新デスクトップOS「Windows 11」の一般提供が始まりました。これらのOSをプレビュー段階から評価している中、1年以上気が付かなかった、「Hyper-V」の重要な仕様変更を見つけました。筆者が気が付かなかっただけのことですが、そもそも公式ドキュメントが追い付いていないんです。
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WindowsやWindows Serverの「Hyper-V」の「Get-VMHostSupportedVersion」は、サポートされる「仮想マシン構成バージョン」や、既定の構成バージョンをレポートしてくれるコマンドレットです。プレビュー段階では、Windowsの新バージョンの製品名やバージョン番号を予想するのに重要なヒントを提供してくれることもあります。
ただし、このコマンドレットの出力結果は、製品名やバージョン番号が正式に決まる前にフィックスされる場合があり、製品名やバージョン番号に関して正式リリース後も誤った出力結果のまま、ということもあるので注意が必要です(この後登場するスクリーンショットで赤の下線で誤りを示しています)。
「Windows Server 2022」の正式版でこのコマンドレットを実行してみたところ、Windows Server 2022の仮想マシン構成バージョンは「10.0」で、これがホストで既定の構成バージョンであることが分かります。
ちなみに、「Windows 10 バージョン1607」「Windows Server 2016」の既定の構成バージョンは「8.0」、「Windows 10 バージョン1809」「Windows Server 2019」の既定の構成バージョンは「9.0」です。半期チャネル(SAC)やプレビューリリースでも新しい構成バージョンがサポートされることがありますが、常に、直近の長期サービスチャネル(LTSC)の構成バージョンが既定になります(画面1)。
Windows Server 2022の出力結果にある「Windows 10(Manganse)」は、Windows Insiderにかつてあった開発ブランチ「MN_RELEASE」のコード名「Manganse(マンガン)」に対応するもので、この開発ブランチが製品版として一般提供されることはありませんでした。
その後の開発ブランチ「FE_RELEASE」(コード名「Iron/Fe(鉄)」)はWindows Server 2022に、さらに次の開発ブランチ「CO_RELEASE」(コード名「cobalt(コバルト)」が「Windows 11」になっています。
Windows Server 2022の出力結果は、Windows Server 2019の出力結果とは明らかに大きな違いがあります。仮想マシン構成バージョンは、Windows Server 2016において「Windows Server 2012 R2」以前の旧型式の仮想マシンをサポートするために導入され、Windows Server 2019までは「Windows 8.1」/Windows Server 2012 R2の構成バージョン「5.0」から、Windows 10 バージョン1607/Windows Server 2016より前のプレビュー(Technical Preview)バージョン「6.2」「7.0」「7.1」をサポートしていました。Windows Server 2022では「8.0」より前のバージョンのサポートが廃止されているのです。
「New-VM」コマンドレットの「-Version」パラメーターを使用すると、ホストの既定の仮想マシン構成バージョン以外を指定して仮想マシンを作成することができます。Windows Server 2022のNew-VMコマンドレットもまた、バージョン「8.0」より前のバージョンをサポートしなくなっています(画面2)。
半期チャネルのWindows 10とWindows ServerのHyper-Vコンポーネントは共通です。Windows 10 バージョン1809/Windows Server 2019後にこの変更がいつ実施されたのか、Windows 10のバージョンをさかのぼって確認してみました。
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