AWS、Graviton3プロセッサを搭載した「Amazon EC2 C7g」インスタンスの一般提供を開始既存Gravitonインスタンスより高いコンピューティング性能

AWSは、自社開発の「Graviton3」プロセッサを採用した新世代の「Amazon EC2」インスタンス「Amazon EC2 C7g」の一般提供を開始した。

» 2022年06月03日 11時30分 公開
[@IT]

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 Amazon Web Service(AWS)は2022年5月23日(米国時間)、新世代の「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)インスタンスである「Amazon EC2 C7g」の一般提供開始を発表した。C7gは、AWSが自社開発したArmベースの最新プロセッサ「AWS Graviton3」を搭載している。

 C7gの「C」は、Amazon EC2のインスタンスタイプのうち「コンピューティング最適化」インスタンスであることを指し、「g」は、AWS Gravitonプロセッサに基づいていることを示す。

 C7gインスタンスは、AWS Graviton2プロセッサを搭載した現世代の「C6g」インスタンスと比べて、コンピューティングを多用するアプリケーションのコンピューティングパフォーマンスが最大25%向上している。ユーザーはC7gのパフォーマンス向上により、コンピューティングを多用する幅広いワークロード(Webサーバ、ロードバランサー、バッチ処理、電子設計自動化《EDA》、ハイパフォーマンスコンピューティング《HPC》、ゲーム、ビデオエンコーディング、科学モデリング、分散アナリティクス、機械学習推論、広告配信など)を、より効率的に実行できるようになった。

 C7gでは、次の8種類のインスタンスがラインアップされている。

各インスタンスタイプの主な特徴

 AWS GravitonプロセッサベースのAmazon EC2インスタンスは、汎用(はんよう)、コンピューティング最適化、メモリ最適化、ストレージ最適化、バースト可能、高速コンピューティングなど、13種類提供されている。C7gに採用されているAWS Graviton3プロセッサは、前世代のAWS Graviton2プロセッサと比べて、暗号化ワークロードのパフォーマンスを最大2倍、機械学習推論のパフォーマンスを最大3倍、科学計算、機械学習、メディアエンコーディングワークロードの浮動小数点パフォーマンスをほぼ2倍向上させることができる。

 AWS Graviton3プロセッサは電力効率も高く、C7gは同等のEC2インスタンスと比べて、同じパフォーマンスを発揮するのに要する電力が最大60%少ない。

 さらにC7gインスタンスは、クラウドで初めて最新のDDR5メモリを搭載しており、AWS Graviton2プロセッサベースのインスタンスよりメモリ帯域幅が50%広く、メモリ集約型の科学アプリケーション(計算流体力学、地球科学シミュレーション、地震処理など)のパフォーマンスを向上させる。また、ネットワーク負荷分散やデータ分析のようなネットワーク集約型アプリケーション向けに、C6gインスタンスよりも20%広いネットワーク帯域幅を提供する。

 こうしたC7gインスタンスは、「AWS Nitro System」上に構築されている。AWS Nitro Systemは、分離されたマルチテナント、プライベートネットワーク、高速ローカルストレージの効率的な提供を可能にする、AWS設計のハードウェアとソフトウェアのイノベーションを結集したものだ。CPU仮想化、ストレージ、ネットワーク機能を専用のハードウェアとソフトウェアにオフロードすることで、ベアメタルとほぼ区別できない水準のパフォーマンスを提供する。

 またAWSは、HPCやビデオエンコーディングなど、並列処理を必要とするアプリケーションのパフォーマンス向上を求める顧客向けに、数週間以内にC7gインスタンスで「Elastic Fabric Adapter」(EFA)のサポートを開始する。これにより、アプリケーションがネットワークインタフェースカードと直接通信できるようになり、レイテンシの低減と安定化が可能になる。

 AWSはブログ記事で、GravitonインスタンスがArmアーキテクチャに基づいていることから、「x86からの移行はどれくらい難しいのか」という質問を受けることもあると述べ、次のように説明している。

 「Graviton3インスタンスは、幅広いOS、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)、コンテナサービス、エージェント、開発ツールによってサポートされており、最小限の労力でワークロードを移行できる。Python、Node.js、Ruby、Java、PHPなどの高水準プログラミング言語で記述されたアプリケーションとスクリプトでは通常、必要となるのは再デプロイのみだ。C/C++、Rust、Goなどの低水準プログラミング言語で記述されたアプリケーションでは、再コンパイルが必要になる」

 C7gインスタンスは、Amazon EC2の通常のインスタンスと同様に、最小使用量の契約や初期費用なしで利用でき、顧客はコンピューティング使用量に応じて料金を支払う。オンデマンドインスタンス、リザーブドインスタンス、スポットインスタンスのいずれかとして購入でき、Savings Plansを利用することもできる。

 C7gインスタンスは、米国東部(バージニア北部)と米国西部(オレゴン)のAWSリージョンで提供が開始されており、他のAWSリージョンでは2022年中の提供開始を予定している。

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