Windows 11でAndroidアプリが実行可能になる新機能「Windows Subsystem for Android」の日本国内でのプレビューが開始された。原稿執筆時点では、Windows Insider Programのベータ版またはDev版を対象に利用が可能な状態になっている。そこで、このプレビュー版で「Windows Subsystem for Android」のインストール方法やAndroidアプリの使い方などについて試した結果を報告しよう。
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2022年8月25日に「Windows Subsystem for Android」の一般向けプレビューが開始された(Japan Windows Blog「Windows向けAmazonアプリストアプレビュー、 Microsoft Storeから日本で提供開始)。
8月18日時点では、Windows Insider Programに参加しないと「Windows Subsystem for Android」を試すことができなかったが、Microsoft Storeのバージョンなど条件がそろえば、Windows Insider Programに参加していないWindows 11(バージョン21H2)でも「Amazonアプリストアプレビュー版」のインストールが可能になり、Androidアプリの実行が行えるようになった。
本稿では、Windows Insider Programに参加して試すことを前提に解説しているが、参加しなくてもMicrosoft Storeから「Amazonアプリストアプレビュー版」のインストールを行うことで、「Windows Subsystem for Android」の実行が可能だ。
Windows 11の目玉機能とされていたAndroidアプリの実行機能「Windows Subsystem for Android」が、2022年8月18日にやっと日本でもInsider Programで公開となった(Windows Blog「Expanding Android Apps on Windows 11 to Windows Insiders in Japan」)。以前から米国など幾つかの国では公開済みだったが、ようやく日本語に対応し、日本のAmazonストアからAndroidアプリのダウンロードが可能になった。
本稿では、Windows Subsystem for Androidを利用する方法などについて解説する。原稿執筆時点では、Windows Insider Programに参加して、ベータ版またはDev版を利用する必要があるが、その後のWindows Subsystem for Androidのインストール方法などは正式版でも同様の手順になるはずだ。また、Windows 11 ProとHomeのどちらでもWindows Subsystem for Androidの利用が可能だ。
Windows Subsystem for Androidは、Windows Subsystem for Linux 2(WSL 2)と同様、Windows 11上の軽量ユーティリティー仮想マシン(Light Weight utility Virtual Machine)上でAndroidの実行環境を動作させるものだ。
仮想マシン上で実行されるため、対象PCで仮想化支援機能「Intel VT-x」または「AMD-V」が有効になっている必要がある。これはファームウェア(UEFI)のセットアップで有効にする必要がある(PCのマニュアル参照)。
また、仮想マシン上のWindows 11でWindows Subsystem for Androidを有効にする場合は、仮想マシン上での仮想マシン実行を可能にする「Nested VM」(ネステッドVM)という機能も有効化する必要がある。仮想化ソフトウェアのプロセッサ関連の項目で、「Intel VT-x/AMD-Vの仮想化」を有効化すればよい。Hyper-Vでの設定手順は、Microsoft Docsの「入れ子になった仮想化による仮想マシンでのHyper-Vの実行」が参考になる。
Windows Subsystem for Androidを利用するには、他にも条件があり、Windows 11の実行要件よりも厳しくなっている(詳細は、「Feature-specific requirements for Windows 11」を参照のこと)。例えば、プロセッサは第8世代のIntel Core i8、AMD Ryzen 3000、Snapdragon 8c以上の性能が求められる。また、メモリ容量も8GB以上(Windows 11は4GB以上で動作可能)とより多くの容量が必要となる。メモリ容量が8GB未満だと、Windows Subsystem for Androidがインストールできないので注意してほしい。
また、Microsoft Storeを更新し、バージョン22206.1401.6以上にしておく必要もある(プレビュー版で試す場合は、Windows Insider Programに参加し、Windows 11を更新してからMicrosoft Storeを更新すること)。Microsoft Storeの更新は、Microsoft Storeを起動し、左ペインの[ライブラリ]アイコンをクリック、「ライブラリ」画面を開き、[更新プログラムを取得する]ボタンをクリックして、「Microsoft Store」アプリを更新すればよい。
いち早くWindows Subsystem for Androidを試すには、Windows Insider Programに参加する必要がある。Windows Insider Programへの参加方法は、Tech TIPS「気になるWindows 11、Insider Programでいち早く新しいUIや機能を試す」を参照してほしい。参加するInsider設定は、「ベータチャネル」でも「Devチャネル」でもどちらでもよい。
なお既にWindows Insider Programに参加しているMicrosoftアカウントがあるのであれば、プレビュー版のISOイメージをダウンロードして仮想マシンや新しいPCにインストールするという方法もある。その方法については、Tech TIPS「待望のWindows 11プレビュー版 ISOイメージファイルをダウンロードする」を参照してほしい。
Windows Subsystem for Androidを有効にするには、「Microsoft Store」アプリを起動し、検索ボックスに「amazon store」で検索し、検索結果から「Amazonアプリストア」をクリックして開く。
「Amazonアプリストア」が開いたら、[インストール]ボタンをクリックしてインストールを行う。セットアップウィザードが起動し、「PCでAmazonアプリストアを選択します」という画面が表示されるので、画面の指示に従って、Windows Subsystem for Androidのダウンロードとインストールを行う。
PCの再起動後、Microsoft Storeの「Amazonアプリストア」を開き、[インストール]ボタンをクリックすると、Windows Subsystem for Androidのセットアップが開始される。この際、「Android用Windowsサブシステムを起動できません」というエラーダイアログが表示されることがある。メッセージを読むと、「仮想マシンプラットフォームが有効になっていることを確認してください」と書かれているはずだ。これは、仮想マシン上でWindows 11を実行しており、Nested VMが有効になっていないことに起因する。前述の通り、Nested VMを有効にすれば、エラーが解消されて、Windows Subsystem for Androidのセットアップが完了するはずだ。
仮想マシン上で実行していないにもかかわらず、このエラーが発生した場合は、何らかの理由で「仮想マシンプラットフォーム」が有効化されなかった可能性がある(Windows Subsystem for Androidを有効にする過程で、自動的に「仮想マシンプラットフォーム」は有効化されるはずだが)。
この場合は、[コントロールパネル]の[プログラムと機能]画面を開き、左ペインの[Windowsの機能の有効化または無効化]を選択、表示された[Windowsの機能]ダイアログで「仮想マシンプラットフォーム」にチェックを入れて[OK]ボタンをクリック、再起動を行えばよい(コントロールパネルを開く方法は、Tech TIPS「Windows 11では「コントロールパネル」がなくなったの? いいえ、あります」参照のこと)。
[Windowsの機能の有効化または無効化]がチェックされているにもかかわらず、上記のエラーが発生している場合は、一度、無効化して再起動を行い、再度、有効化して再起動してみると、エラーが解消されることがあるようだ。
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