データマーケットプレースは日本で本格的に立ち上がるか、Snowflakeが参加企業を発表QUICK、東芝テック、インテージなど

スノーフレークが、データマーケットプレースにさまざまな企業が参加したことを発表した。同社は、クラウドデータウェアハウスから直接データを共有し、収益化につなげられる仕組みを提供している。

» 2022年10月25日 08時00分 公開
[三木泉@IT]

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 複数の組織間でデータを売り買いする場であるデータマーケットプレースについては、以前からさまざまな取り組みが進められてきた。だが少なくとも日本では、これまで大きな成功を収めた例がほとんど見当たらない。スノーフレークが、この状況を変えるかもしれない。

 スノーフレイクは2022年10月24日、10月25日から開催のオンラインイベント「DATA CLOUD WORLD TOUR JAPAN」に先駆け、多様な企業が同社のデータマーケットプレースに参加したことを発表した。 スノーフレークはマルチクラウドデータウェアハウスを提供し、さらにこれを基盤として、データをリアルタイムで共有・売買できる「Snowflakeマーケットプレイス」の拡大に力を入れてきた。

 Snowflakeのマーケットプレースの特徴は、自らがSnowflakeに蓄積したデータを、コピーすることなく有償・無償で公開できることにある(当然、データには加工や制限を加えることができる)。「コピーをしないので、データの鮮度が落ちない」と、スノーフレーク社長執行役員の東條英俊氏は話す。リアルタイムでのデータ共有が可能で、IoTやPOSシステムなどのデータを、最小のタイムラグで提供する用途にも使える。

 Snowflakeユーザーであれば、データの提供も利用も即座に始められる。

マーケットプレース上で、どんなデータが提供されるのか

 今回参加企業として発表されたのは、東芝テック、インテージ、エム・データ、MDV、Tangerine、xMAP。9月にはQUICKの参加が発表済み。2021年には、ウェザーニュース、truestarが参加している。

 金融情報サービスのQUICKは、金融マーケットデータの提供を、Snowflakeマーケットプレイスで開始した。金融機関その他の企業は、自社のデータと掛け合わせて分析することができる。同社は今後、「オルタナティブデータ」と呼ばれる関連のビッグデータのキュレーションおよび提供も予定する。また、特定顧客のみに対する情報共有も考えているという。

 大手POSシステムベンダーの東芝テックは、POSパネルデータの試験提供を開始した。同社はPOSシステムと連動するクーポン発券クラウドサービス「テッククーポンデリ」を提供している。小売店側の負担なしに、メーカーのインセンティブを、レシートに印刷するクーポンとして発券できる。

 今回発表した「データ流通サービス Snowflake版」では、このサービスを利用する小売企業から利用の了承を得た販売データを統計処理し、地域データとして提供する。データは販売発生後1時間以内に順次更新されるという。

 エム・データは、TVメタデータの提供を開始した。TVメタデータとは、テレビ番組やCMについて、「どこで」「何が」「いつ」「どのように」「何秒間」放送されたかをテキストとして提供するものという。番組やCMの内容、取り上げられた商品や観光スポットなどの場所の情報をリアルタイムで取得でき、他のデータと合わせるなどしてCMの効果分析や、商品の需要予測、販売促進などに生かせる。

 インテージは店舗マスターデータと商品情報データベースを一部マスキングし、トライアルデータとして無償で提供する。店舗マスターデータは、店舗情報を周辺居住者特性と共に提供するもの。エリア分析、需要予測、出店計画などに使える。商品情報データベースは、食品、飲料、アルコール、雑貨、化粧品、OTC医薬品などにつき、JANコードごとに商品名、商品分類、容量などの情報が見られる。マスター情報管理、話題の商品やシーズンに合わせた店舗売り場の提案や企画に使えるという。

 メディカル・データ・ビジョン(MDV)は、「リアルワールドデータ」と呼ばれる、診療行為に基づく情報を集めた医療ビッグデータを、Snowflakeマーケットプレイス上で提供開始した。同社が保有する4000万人以上の匿名化された医療情報に国内外からアクセスでき、国際的な臨床研究に役立てられるという。また、例えば気象データとの連携で気温上昇と熱中症発生件数の関係を分析し、さまざまな業界の商品開発、製造、仕入れ・販売予測などにつなげられるとしている。

 Tangerineは、ショッピングモールや小売店舗の館内、店内、店舗前の顧客行動を把握・分析できるサービスを提供している。より正確な分析や予測には、同社センサーの情報だけでなく、Wi-Fi、モバイル基地局、POSシステムなど、他社の多様なデータとの連携が必要になる。同社は、Snowflakeマーケットプレイスに参加することで、この問題を解決したという。また、ユーザー企業の会員情報やPOSデータなどとの統合分析も可能になる。

 xMAPは、全国60万件以上の飲食店について、店舗情報に加え、交通機関、広告看板、周辺人口データなどを持っている。これをSnowflake マーケットプレイスで提供することで、Snowflakeユーザーが自社の持つデータと統合的に分析し、来店予測や出店計画に役立てられる。コンサルティングなどの企業も活用できるとしている。

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