「生涯エンジニアでいたい」――そう思っている人も多いでしょう。20年前の僕も「何となく」そう思っていました。でも、いまは……。
こんにちは、竹内義晴です。本連載「仕事が『つまんない』ままでいいの?」は、毎日を「楽しく働く」ために、日常の困りごとを解決する考え方やアイデア、心のありようなどについてお話ししています。
僕は30代の中盤までプログラマーでした。その後紆余(うよ)曲折があり、現在は「しごとのみらい」というNPO法人を経営したり、「サイボウズ」で複業したりしています。結果的にエンジニアを離れることになりましたが、現在の働き方、生き方には満足しています。
また、いまは「こんな未来にしたい」「こんな社会課題を解決したい」といった、将来のイメージもあります。
一方、ふとエンジニア時代を振り返ると、「そういえば、若いころは将来のことなんてあまり考えていなかったな」と思います。考えていたことといえば、何となく「生涯エンジニアでいたいな」ぐらい。そして、時々思うのです。「もし、いまの知識と経験を持ったままエンジニア時代に戻れるとしたら、僕はどんな振る舞いをするだろう?」と。
そこで、本記事では「やりたい仕事を長く続ける」という観点で、自分で選択する働き方、生き方をするために大切なことについて考えてみたくなりました。
まず、僕が若いころに描いていた「何となくの未来」についてお話しします。
僕が最初に勤めたのは自動車会社でした。福利厚生は充実していたし、大きな会社という安心感もありましたが、「オレは、エンジニアだぞ!」という自覚はほとんどありませんでした。
上司から言われた決められた仕事をこなす毎日。それほど充実感があったわけではありません。でも、それが悪いことだとも思っていませんでした。
それだけに「将来のイメージ」といえば、10歳、20歳上の先輩を見ては、「10年後はこんな感じ」「20年後はあんな感じだな」と目の前の先輩に未来を重ねていたのです。
自動車会社で10年間働いた後に、地元の新潟に帰郷することになりました。その折「せっかくなら、やりたいことをやってみよう」と思い、当時少しだけかじっていたプログラミングのスキルを頼りに、IT企業に転職しました。
転職したら、そこにあったのは自動車会社とはまったく違う世界でした。
社員100人ほどの会社でしたので、自動車会社と比較すると小規模です。それまでは大企業の1つの歯車に過ぎませんでしたが、転職先では顧客のところに足を運び、ヒアリングし、設計し、システムを作って納品する……。この「自分でシステムを開発している感じ」がめちゃくちゃ楽しくて、僕は「生涯エンジニアでいたい!」と思うようになりました。
それでも、いま当時のことを振り替えると、何となく「生涯エンジニアでいたい!」とは思っていたものの、「どんな形で?」「どうやって?」という明確なイメージはありませんでした。そのため、描いていた未来といったら、何となく「この仕事をずっと続けられたらいいな」とか、何となく「ある程度年齢を重ねたら、コンサルタントになるのかな?」とか、何となく「プレイングマネジャーになるのかな?」とか、何となく「資格を取った方がいいのかな」くらいでした。
このように、若いころの僕の未来像は、それほど明確なものではなかったのです。
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