2歳児にも82歳にも優しいバリアフリーなUIです。
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皆さんのご両親や祖父母は、どんな端末を使っていますか? ガラケーの方もいらっしゃるでしょうか? 最近はガラケーが減ってきて、高齢の方々も次々にスマートフォンに乗り換えている(乗り換えざるを得ない)状況になっているようです。
筆者の77歳の母は以前からスマホを使いこなしているのですが、82歳の父はスマホが大の苦手。電話をかける、受けるがせいぜいで、アプリはまったく使えません。
そんな父が突然、あるネット端末を使いこなし始めました。8インチディスプレイ付きのスマートスピーカー「Echo Show 8」です。Spotifyで音楽を聞いたり、Amazon Prime Videoで映画を見たりして、ネットコンテンツを存分に楽しんでいるようなのです。
Echo Show 8を実家にセットした筆者も、まさかこんなことになるとは予想もしませんでした。
実家にEcho Showを置いた目的は、テレビ電話でした。自宅のEcho Showと実家のものをつなげば、お互いに呼び掛けるだけでテレビ電話できるので、コミュニケーションしやすくなるかな? と考えたからです。
帰省中にEcho Showをセットし、母親には、「この端末に『アレクサ』と呼び掛けて質問したら答えてくれるよ」ということだけ教えましたが、使わないだろうなと思っていました。特に、スマホすら苦手な父が使うことはないだろうと。
予想は見事に外れました。母がアレクサに質問し、アレクサが答えてくれた様子を聞いていた父が、母のまねをして「アレクサ、ハワイアンをかけて」と言ってみたところ、ハワイアンミュージックがかかり、父は大喜びしたそうです。
それからというもの父は、ハワイアンを中心に、フランク永井、ビリー・ヴォーン楽団といった、洋邦のなつかしい楽曲を、毎日アレクサにかけてもらって聞いているそうです。時々楽曲が再生されなかったり、まったく違う曲が流れることに、怒ったりしながら。
筆者はEcho Showを、実家のダイニングテーブルを見渡せる場所に置いて帰ったのですが、父がいつも座っている場所から遠くて使いにくかったようで、今は、父の席のすぐ隣に移動しています。
父はAmazon Prime Videoで古い映画を見つけ、映画鑑賞も始めたそうです。ただ、8インチの画面サイズは小さ過ぎて、見るのを諦めてしまったとか。次に帰省するとき、画面がもう少し大きいEcho Showを買って行きたいと思います。
父がスマートスピーカーを使いこなすようになって思い出したのが、筆者の息子が小さかったころ。彼は2歳ごろから、Google Homeと会話していました。「ねえグーグル、しまじろうって知ってる?」「ねえグーグル、パンダの鳴き声は?」などと質問し、答えてもらっていたのです。
当時、彼は文字が読めなかったので、同様の質問をスマホなどで“ググる”ことはできません。でもスマートスピーカーなら、スマホ操作や文字が分からなくても、ネットにアクセスして知識を引き出すことができるので、バリアフリーな家電だなと感じていました。
翻って45歳の筆者は、最近老眼になり、スマートフォンの文字が見えづらいことが増えてきました。そういう人でも、スマートスピーカーなら文字を読む必要がなく、声を出せ、耳さえ聞こえれば使いこなすことができます。
スマホ、タブレット、PC、スマートスピーカー、VR(仮想現実)ゴーグル……ネット端末や操作方法が多様化することで、いろいろな人が自分に合った方法で情報に触れられるようになりました。端末の進化で、ITが人生を豊かにしてくれる機会が増えてきたなあ、と温かい気持ちになりました。
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