「Z世代さん」はいない――「何を考えているのか分からない」と嘆く前に仕事が「つまんない」ままでいいの?(111)(2/3 ページ)

» 2024年03月13日 05時00分 公開

同じ世代でも、考えは人それぞれ

 最近、「多様性」という言葉をよく見聞きします。世代にかかわらず、相手が何を好み、どんな関わり方や働き方を望んでいるのかは人それぞれです。それは、聞いてみないと分かりません。

 「最近の若い世代は何を考えているのかよく分からない」と思うのなら、話をしてみる、話を聞いてみることでしか相手のことは理解できないのではないかと思います。

 いや、場合によっては「理解」までしなくてもいいのかもしれません。ですが、少なくとも話を聞けば、価値観は自分と違っても「何を考えているのか?」は分かるはず。「相手を知るためにはコミュニケーションを重ねるしかないんだろうな」と思います。

 少し話はずれますが、最近、1on1ミーティング(上司と部下が、1対1で話をすること)がはやっています。なぜはやっているのかを考えてみると、「対話の重要性」に気が付き始めた人が多いからなのではないかと思います。

 僕は管理職時代に十数人のメンバーと一緒に仕事をしていましたが、毎月1人30分、全員と話をする機会を設けていました。ざっくばらんにいろいろな話を聞きました。この対話は、メンバーが抱えている課題や悩みを早めに知ることができ、問題を早めにキャッチアップすることに役立ちました。

 また、僕はいま、週2日、サイボウズというIT企業でも複業しています。サイボウズでは、業務時間中に同僚や上司と、ざっくばらんな話をする「ザツダン」という文化があります。若いメンバーとも意識的に会話をするようにしていますし、僕自身に悩みや不安があったとき、上司に話を聞いてもらうことで、こころを整えながら仕事ができる機会になっています。

 こうした、ざっくばらんな話をする場は飲み会じゃなくてもいい。むしろ、仕事の話は「業務時間内の方がいいんじゃないか?」という気さえします。

どのように「対話の場」を設定するか?

 とはいえ、一言で「対話をする」といっても、難しさを感じる人もいるでしょう。

 若い世代から「話を聞いてもらえませんか?」のようにアクションを起こすのは、かなり難しいのが実際です。そこで、できれば管理職やリーダーの方から、若い世代に降りていき、目線を合わせる必要がありそうです。

 また、「困ったときは何でも言ってきていいよ」と伝えても、実際のところ、若い世代から「実は、悩んでいます。相談に乗ってもらえませんか?」と声を出すのは相当ハードルが高いのです。

 そこでお勧めなのは、「定期的に話す場を設定しておく」こと。周期は、週に1回、月に1回などさまざまだと思いますが、定期的に話す場を設定しておくことで、仮に仕事の悩みや不安なことが起こっても、「今度のザツダンで話せるからいいや」のように、相談するハードルを下げながら、上司とメンバーが状況を共有する機会になります。

 また、対話をする場を設定するなら、「話をする目的」を伝えておくといいでしょう。

 というのも、目的が分からぬまま、突然「〇〇さん、ちょっと話をしませんか?」と言われたら「何かあったんじゃないか?」「怒られるんじゃないか?」とドキドキしてしまいます。

 そこで、「もし、○○さんに仕事の困りごとがあれば、早めにサポートできたらいいなと思っているんだけど、定期的に話をしない?」とか、「みんなの状況を把握して、もっと働きやすいチームにしていきたいと思っているんだけど……」のように事前に伝えておくと、メンバーに不要なドキドキを抱かせずに済みます。

 なお、「対話をする時間を増やそう」と提案すると、「一人一人と話をしている時間などない」という意見が返ってくるときがあります。実際、プレイングマネジャーをはじめ、忙しい皆さんにとってはそれが本音でしょう。

 ですが、定期的に話をしておくとメンバーが置かれている状況が分かり、問題を早めにキャッチアップできるため、大きな問題になる前に手が打てるメリットがあります。

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