対話の場を設定しても、次に困るのが「何を話すか?」です。ザツダンの場のため、何を話してもいいのですが、「何を話してもいい」と言われても困ってしまいますよね。
まず、気を付けることがあるとしたら「尋問にならないこと」。「〇〇は予定通りに進んでいるのか?」「□□はどうなんだ?」のように、1対1の場で仕事の話を理詰めで追及されては、最悪の時間になってしまいます。
また、上司とメンバーの会話でありがちなのが、「コミュニケーションが大事だから」といって、上司側が自分の話をとうとうとしてしまい、メンバー側が聞き役になってしまうこと。これでは「上司は全然話を聞いてくれない」となり、むしろ逆効果です。「自分の話は脇に置いて、話を聞く」くらいの気持ちが重要です。
話のネタですが、それこそメディアから流れてくる「最近の若い世代は○○」「Z世代は○○」みたいな話に対して、意見を聞いてみるのはどうでしょうか? 「ネットでこんな記事を見たんだけど、○○さんはどう思う?」のように。会話のきっかけ、相手を知るきっかけになりそうです。
僕は以前、若いメンバーとザツダンしたときに「〇〇さんは、飲み会についてどう思う?」と聞いたことがあります。すると「別に嫌いじゃないですよ。むしろ、先輩のいろんな経験や話、聞いてみたいです」と話してくれました。
このように、ザツダンのような場でこのような情報を仕入れておけば、仮に「飲みニケーションしたいな」と思ったときも、遠慮なく誘えるじゃないですか。
「最近の若い世代が何を考えているのかよく分からない」のは、「話をしていない」から。それぞれの世代を分けて、その特徴を知ることも大切かもしれませんが、各世代の特徴を知ったところで、目の前のメンバーのことは分かりません。
また、「Z世代」「ゆとり、さとり世代」というのは、誰かが勝手にくくった分類で、実際には「Z世代さん」も「さとり世代さん」もいません。いるのは「私」と「あなた」です。それならば、まずは、目の前のメンバーと対話をしてみませんか?
とはいえ、「ちょっと話さない?」と声を掛けるのは勇気が要りますよね。その勇気が、上司とメンバーをつないでくれるのだと思います。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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