パーソルキャリアは「2023年度 職種版 決定年収レポート」を発表した。2023年度は14職種中12の職種で決定年収が上昇。2022年度から2023年度の1年間の決定年収上昇幅が最も大きかったのは「組み込みソフトウェア」の職種だった。
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パーソルキャリアは2024年6月12日、「2023年度 職種版 決定年収レポート」を発表した。同社が運営する転職サービス「doda」のエージェントサービスを利用して2019年4月〜2024年3月の間に転職した個人のデータを基に、採用決定時に個人に対して提示する年収(決定年収)を集計したもの。
2019年度から2023年度までの5年間での決定年収上昇幅は、平均で32万円。最も上昇幅が大きかった職種は「金融系専門職」で54万円の上昇だった。パーソルキャリアは「事業強化のために、デジタル技術や資産運用、プロジェクトファイナンスなどにたけた人材を求め、経験者採用の比率を上げたことが要因だ」と分析している。
2022年度から2023年度の1年間の決定年収上昇幅を見ると、トップは「技術職(組み込みソフトウェア)」で14万円上昇、2位は11万円上昇した「営業職」と「技術職(化学、素材、化粧品、トイレタリー)」だった。
パーソルキャリアによると、組み込みエンジニアの採用ニーズが大幅に高まっているという。その理由として同社は「IoT(Internet of Things)の拡大」「自動車産業の進化」「スマートファクトリーと産業自動化」「医療技術の進歩」「エネルギー効率と環境への配慮」の5つを挙げた。組み込みエンジニアは、さまざまな分野でニーズがある上に安全性やリアルタイム性が求められるため、開発上の制約が比較的多く、「特に人材が不足している」とパーソルキャリアは述べている。
dodaの副編集長である高橋直樹氏は「2023年度は14職種中12の職種で決定年収が増加した。今後も物価上昇が見込まれること、そして労働人口不足が解消されないことを考慮すると、賃上げ傾向は続き、それに伴い転職時の提示年収も徐々に上がっていく見込みだ。しかし、何もしないのに転職時の年収が上がるわけではない。今後は自らのキャリアを自分の力で切り開いていく主体性が重要になるだろう」としている。
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