Linux Foundationは、分散型トラストを備えた分散型システムのオープンソース開発の推進に重要な役割を果たす「Linux Foundation Decentralized Trust」を設立する計画を発表した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
Linux Foundationは2024年6月25日(米国時間)、分散型技術の市場が拡大し、導入が進んでいることを踏まえ、「Linux Foundation Decentralized Trust」(LF Decentralized Trust)を設立する計画を発表した。
この新しい統括組織は、Linux Foundationの既存のブロックチェーンおよびデジタルアイデンティティー(ID)プロジェクトの世界的な強みを基盤として、分散型技術の急速な発展をさらに後押ししていく。
この技術のより広範なエコシステムの促進を目指し、LF Decentralized Trustは、Hyperledgerプロジェクト群の成長するポートフォリオをカバーし、分散型トラスト(※)の分散型システムへのマクロシフトに不可欠な、新しいオープンソースソフトウェア、コミュニティー、標準、仕様をホストする。
※中央集権的な管理機関に依存することなく、技術的な手段によって、知らない相手とのやりとりにおいて成立する信頼関係
分散型技術は市場を急速に再編し、従来のビジネスモデルやシステムに創造的破壊をもたらしている。経営コンサルティング企業Boston Consulting Groupによると、資産のトークン化だけでも2030年までに16兆ドルの市場規模になる見通しだ。LF Decentralized Trustのプロジェクトとメンバーのエコシステムの拡大は、新しいトークン化された資産クラスおよびネットワークに不可欠であり、金融、商取引、政府、医療などのコアインフラのモダナイゼーションにも不可欠だ。
LF Decentralized Trustは、台帳、ID、セキュリティ、相互運用性、スケール、実装および関連技術を、幅広くオープンに開発するための中立的な拠点を提供する。これらの基盤技術の開発と展開におけるイノベーションとコラボレーションを促進する、Linux Foundationの主要組織となる。またLF Decentralized Trustには、個々のプロジェクトやプロジェクトのリソースに対するメンバーの戦略的な投資を促進する、新しい資金提供モデルも含まれる。
Linux Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるジム・ゼムリン氏は、次のように述べている。「われわれはLF Decentralized Trustを通じて、より広範な分散型技術を取り入れることで、オープンソースイノベーションへの取り組みを拡大する。新たに発足するこの主要組織の支援を受け、コミュニティーは世界的なインフラの透明性、セキュリティ、効率性を推進する、より強力なエコシステムを構築できるようになる」
「Hyperledgerコミュニティーが8年間にわたってブロックチェーン、分散型ID、関連技術の開発を進めてきたおかげで、われわれの取り組みと影響力を拡大する時が来た」と、Linux Foundationのブロックチェーンおよびアイデンティティー担当ゼネラルマネジャーを務めるダニエラ・バルボサ氏は述べている。
「台帳と台帳技術は、デジタルファーストの世界経済を支える分散型システムの1つの要素にすぎない。LF Decentralized Trustは、世界の基幹システムのアップグレードを成功させるために必要な透明性、信頼性、セキュリティ、効率性を実現するために、広範なコミュニティーと技術ポートフォリオを結集し、成長させる場になる」(バルボサ氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.