デロイト トーマツ グループは、レポート「アジアパシフィックにおける生成AI」を発表した。アジアパシフィックで生成AIの導入をけん引しているのはデジタルネイティブ世代だということが分かった。
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デロイト トーマツ グループは2024年7月10日、レポート「アジアパシフィックにおける生成AI(人工知能):若手ビジネスパーソンがけん引する一方で、経営層は後れを取り戻す必要がある」を発表した。
同レポートは、アジア太平洋地域(オーストラリア、中国、インド、日本、シンガポール、台湾、韓国、ニュージーランド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)のビジネスパーソンと大学生の約1万1900人を対象に実施した調査の結果をまとめたもの。
レポートによると、生成AIのユーザーは1週間で6.3時間、およそ1日分の労働時間の削減に成功しており、その時間を新たなスキルの習得に充てていることが分かった。生成AIの利用によって時間を節約できた人のうち、「ワークライフバランスを改善できた」と考えている人の割合は41%だった。こうした背景から「生成AIによって仕事量の持続可能性や仕事の生産性が高まる可能性がある」とデロイト トーマツ グループは指摘している。
アジア太平洋地域で生成AIの導入をけん引しているのはデジタルネイティブ世代(同レポートでは「2024年7月現在で24歳以下のビジネスパーソンや学生」と定義)だという。同地域での生成AI利用率も、先進国を30%上回っており、デロイト トーマツ グループは「テクノロジーの既存ヒエラルキーにディスラプションが起こる可能性がある」と分析している。
同社はアジア太平洋地域の各業界における生成AIの影響についても分析している。分析の観点は、生成AIのインパクト(「衝撃」)と、それぞれの業界が影響を受けるまでの期間(「導火線」の長さ)の2つ。それによると、特にインパクトが大きいのは「金融」「情報通信技術(ICT)とメディア」「プロフェッショナルサービス」「教育」の4つの業界だった。
「この4業界は、アジア太平洋地域経済の5分の1を占めている。生成AIを利用している学生の40%がこの4業界に就職したいと考えおり、結果的にDX(デジタルトランスフォーメーション)も加速するだろう」(デロイト トーマツ グループ)
同社は、今回の調査結果を基に、生成AIによって急速に変化する環境に対応するために必要な戦略として、次の3つを挙げた。
デロイト アジアパシフィックの務めるロブ・ヒラード氏(コンサルティングビジネスリーダー)は、「CEOをはじめとする企業幹部に求められているのは、新たな技術を採用して既存のプロセスやタスクの効率性向上を図るだけではなく、その技術を使ってプロセスやビジネスモデルを全面的に見直していくことだ。生成AIを活用できるように業務を改革することで従業員や顧客の満足度が高まり、収益性も改善する」と述べている。
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