先日、世代間コミュニケーションに関するワークショップに登壇しました。参加者は、ある大学の学生20人ほどと、いろいろな企業の管理職20人ほど。5~6人のグループに分かれて、それぞれの立場で思っていることを共有し合うワークショップで大学生たちから聞こえてきた2つの声が、とても印象的でした。
1つは「管理職の人たちが、私たち若い世代のことをこんなにも考えてくれているとは思っていなかった」という声。もう1つは「気遣っていただけるのはありがたいけれど、パワハラやモラハラと言われないかどうか恐れるがあまりに、必要なことを伝えてもらえないのはもっと困る。必要なことは伝えてほしい」でした。
管理職たちは、若い世代に対して、「これは、言って大丈夫なのかな?」という不安がある。若い世代の皆さんは、いろいろ経験してきた先達から「伝えてほしい」ことがある。
このワークショップを通じて、お互いの状況や気持ちを事前に伝え合うことって「大切だな」と思いました。
ただ、こうしたやりとりは、お互いに何の利害もないからできることだと承知しています。実際には、新入社員から上司に「必要なことは遠慮なく言ってください」「必要なことを伝えてもらえないのはむしろ困るので、言っていただいた方がありがたいです」と伝えるのは難しいですよね。こうした関係性の構築は、管理職側から働き掛けるのが一般的だと思います。
ですが、既にお話しした通り、管理職は管理職で「どこまで言っていいのか」で悩んでいます。このままでは、お互い平行線のままです。
幸いなことにいまの時期は、「個別面談」をはじめとした上司と対話する機会が多いと思います。その際、話の流れで「他に、聞いておきたいことはない?」とか、「言っておきたいことはない?」といった話になるケースも多いでしょう。
そういった機会があれば、少し勇気を出して「伝えるべきだと思ったことがあったら、教えていただく方がありがたいです」と、伝えてみるのもいいかもしれませんね。
また、管理職たちからよく相談されることの一つに「飲み二ケーション」があります。本音では「ざっくばらんな会話をしたい」と思っているようですが、「最近の若い世代は飲みに行きたがらない」といったメディアの情報に、「若い世代を飲みに誘ってはいけないのではないか」という声を、非常に多く聞きます。
ですが、先日話した入社2年目の方は、次のように話していました。「世の中の風潮的に、『飲み会はよくない』みたいになっていますが、尊敬できる先輩となら飲みに行きたいし、いろいろな話も聞きたいと思っています」――もちろん、意見はさまざまかもしれませんが、こういった意見の方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
もしも、皆さんが飲み二ケーションのような場が好きで「誘ってほしい」と思っていたら、最初の面談などで伝えておくと、管理職の方々も誘いやすくなるかもしれませんね。
近年のコミュニケーションギャップは、メディアなどから伝えられる「○○世代の考え方は□□だ」といった情報をうのみにするがあまり、本当は、相手がどう思っているのか、何を望んでいるのか分からぬまま、過度に「××してはいけない」と、管理職も新入社員も思っているようです。
でも、相手がどう思っているのかは人それぞれであり、聞いてみなければ分からない。こうしたコミュニケーションギャップを埋めるためには対話をするしかないし、どちらか一方のアプローチを待つだけではなく、少しの努力でできる、半径2メートルの小さな行動が大切なのではないかと思っていて。
繰り返しになりますが、新入社員の皆さんから気持ちを伝えるのは難しいし、勇気がいることですよね。ですが、管理職たちも「いい関係を築きたい」と思っているし、「新入社員たちが本当はどう思っているのか」を知りたい人も多いです。
これから関係を構築するできるだけ早い段階で、ほんの少し勇気を出して気持ちを伝えてみると、管理職との理解が進んで、関係構築しやすくなるのではないかなぁと思います。
皆さんの社会人生活が、楽しく充実した日々になりますように!
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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