Javaアプリケーションサーバ・カタログ
鶴長 鎮一
2003/5/13
製品選択のポイント
今回は5製品を見てきた。主な標準規格(JVM、EJB、Servlet、JSP、JMS、J2EE)の対応の有無や対応バージョンは以下の表をご覧いただきたい。JVMが1.3.1か1.4.1かの違いはあるが、それ以外に大きく変わることはない。ただし、同一製品でもパッケージングによってはJavaアプリケーションに重要な機能が割愛されているので注意が必要である。
パフォーマンスについては冒頭でも述べたとおり、それぞれ現場での使用状況によって変わってくるため一概に比較することはできない。参考程度ではあるが、EJBベンチマーク「ECperf」(http://ecperf.theserverside.com/ecperf/)を参照するという方法もある。ただし、ここに掲載されているのは各ベンダが自社の製品で最高パフォーマンスを発揮できるようにチューニングして持ち込んだモンスターマシンであることを忘れてはいけない。
では、どの製品を選ぶべきだろうか? 最初に見極めなければならないのは、自分が抱えている案件にJavaアプリケーションサーバが必要かどうかである。J2EEコンテナが必要でなければTomcatでも十分だが、クラスタリングまで考慮するとJ2EEコンテナの必要性に関係なくJavaアプリケーションサーバを導入することになる。ServletやBeanでSession情報を使用するとなると、クラスタノード間でSession情報の同期を取る必要があるが、現在のところTomcatではサポートされない。
各社のJavaアプリケーションサーバは、インメモリレプリケーションやRDBMSを使ったSession情報の同期化が可能となっている。特にクラスタリング環境を前提とするならWebSphere(Network Deployment以上)のオートノミック・コンピューティングは大変興味深いし、WebLogicは最も最近発表されたというアドバンテージがあるため、洗練や先進性では一日の長がある。またBorlandのツール類の作り込みやOracleのキャッシュ機能は目を見張るものがあるし、Sun ONE Application ServerはJ2EE対応でありながら無償で利用できる。
Javaアプリケーションサーバとしてどれを採用すればいいのか選択に悩むところだが、選択に当たってはJavaアプリケーションサーバ単体としてではなく、Javaアプリケーションサーバを基本とするスイート製品の性格まで考慮に入れ、ベンダがどの方向に向けてJavaアプリケーションサーバを展開していくかを踏まえた将来性を判断材料にするといいだろう。
製品名 | BEA WebLogic |
Borland Enterprise Server |
IBM WebSphere |
Oracle9iAS | Sun ONE Application Server |
メーカー | |||||
価格 |
198万円〜
|
150万円〜
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112万9500円〜
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125万円〜
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48万円〜
|
価格備考 |
1CPUあたり
|
1CPUあたり
|
1CPUあたり
|
1CPUあたり
|
1CPUあたり
|
JVM |
1.4.1/
JRockit 8.1 |
1.3.1
|
IBM JVM 1.3.1
|
1.3.1/
1.4.1 |
1.4
|
Servlet |
2.3
|
2.3
|
2.3
|
2.3
|
2.3
|
JSP |
1.2
|
1.2
|
1.2
|
1.2
|
1.2
|
JMS |
1.0.2
|
1.0.2
|
1.0.2
|
1.0
|
1.0.2
|
J2EE |
1.3
|
1.3
|
1.3
|
1.3
|
1.3
|
管理ツール |
Web GUI
|
専用GUI
|
Web GUI
|
Web GUI
|
Web GUI
|
開発環境 | Workshop | JBuilder | WebSphere Studio | JDeveloper | Sun ONE Studio |
参考:ThesSrverSide.com(http://www.theserverside.com/reviews/matrix.jsp) |
7/7
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