8つのキャリア・アンカーを簡単に説明しました。あなたはどのタイプに該当するか分かりますか?
社会人になってすでに10年以上の経験をお持ちなら、自分のキャリア・アンカーがどのタイプなのか、比較的簡単に分かったのではないかと思います。一方、20代で社会人経験が少ないうちは、前述したように自分のキャリア・アンカーがよく分からなくても仕方がないでしょう。
しかし、いずれは自分のキャリア・アンカーは何かという問いに直面せざるを得なくなるときが来ます。キャリアづくりにおける最大の節目「転職活動」のときです。転職活動では、次にどんな仕事、勤め先を選ぶかという短期的な見方はひとまず脇に置いておいて、まずは「人生」という大きな枠組みで、自分がどんな生き方、働き方をしたいのかという長期的な視野でキャリアプランを立てることをお薦めします。「自分がどんな生き方、働き方をしたいのか」ということをはっきりさせることは、すなわち自分のキャリア・アンカーを明確化することにほかならないからです。
また、女性の場合、結婚や出産といった人生の大イベントや夫の転勤などによって、退職、転職、休職などキャリア上の重大な選択を迫られることが多いですよね。こんなときも、自分はキャリア選択に当たって何を大切にしたいのかをじっくり考える必要性が出てきます。
実のところ、どんなキャリア・アンカーを持っているのか、自分1人で考えていてもなかなか分からないものです。前述したように、転職や結婚、出産など人生の節目に直面すれば、いや応なしにキャリアの選択を迫られます。自分のキャリア・アンカーが自然に浮かび上がってくるのです。それ以外のときは、友人や同僚、配偶者などに手伝ってもらい、会話を通じて自分のキャリアを振り返る機会を持ってみましょう。自分に対する認識を深めるために、他者の客観的な認識を助けとするわけです。
参考文献として末尾に掲げている『キャリア・アンカー』には簡単な質問票(アンケート)が含まれており、それに回答すると、8種類のキャリア・アンカーのどれに最も該当するかが分かります。
また、同書には「キャリア・アンカー・インタビュー」の質問項目が掲載されています。友人などに頼んで、この質問を投げ掛けてもらい、自分のキャリアを振り返り、今後のキャリアづくりにおける指針=キャリア・アンカーを明らかにしてみてください。自分のキャリア・アンカーを把握しておきたいという方はぜひこの本を参考にされるといいでしょう。
参考文献
▼『キャリア・アンカー』
エドガー H. シャイン著、金井壽宏訳、白桃書房
松尾 順(まつお じゅん)
1964年福岡県生まれ。早稲田大学商学部出身。市場調査会社、IT系シンクタンク、広告会社、ネットサービスベンチャー、ネット関連ソフト開発・販売会社を経て、2001年より有限会社シャープマインド代表。マーケティングリサーチ、広告プロモーション企画&プロデュース、Webサイト開発企画&プロデュースを多数手掛ける一方、キャリア理論や心理カウンセリング、コーチングを学び、主に個人を対象とするキャリアアドバイザーとしての仕事を増やしてきている。顧客心理の理解向上を目指す「マインドリーディング・ブログ」主宰。「シナプスマーケティングカレッジ」講師。
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