デール博士と5つのキャリア志向エンジニアも知っておきたいキャリア理論入門(6)(2/2 ページ)

» 2008年10月08日 00時00分 公開
[松尾順シャープマインド]
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5つのキャリア志向性別「基本的なキャリア戦略」

 あなたは、5組の人物のだれに共感を覚えましたか? 最も共感を覚えた人物とあなたは、おそらく同じようなキャリアの志向性を持っています(シャイン理論と異なり、どの志向性かを判断できる調査票のようなものは、私の知る限りではありません)。

 前回のシャイン理論でも書きましたが、自分が持つキャリアの志向性が明確になるのは、転職や出産など人生の節目を迎えたときです。例えば、西村夫婦は、年老いた両親の面倒を見なければならない状況に直面したことで、「バランス志向」の方向性を選択しました。

 最後に、それぞれのタイプが採用すべき「基本的なキャリア戦略」を紹介しましょう。

●前進志向(Getting ahead)の人

  • 仕事を最優先とせよ
  • キャリアプランを立て、迅速に動け
  • スポンサー(支援者)を得よ
  • 本当にやるべきことだけやれ
  • 挑戦し続けよ

●安定志向(Getting secure)の人

  • 適切な会社を選べ
  • 会社の文化・社風を知り、適応せよ
  • 組織のニーズを優先せよ
  • 内輪の仲間に入れ

●自由志向(Getting free)の人

  • 求められる成果を出せ
  • 勝負の行方を読み、先んじよ
  • 限られた情報を十分に集めて活用せよ
  • ここ一番の勝負どころで活躍せよ
  • 気の合う仲間を増やせ

●挑戦志向(Getting high)の人

  • 求められる成果を出せ
  • より良い結果を目指せ(単なる結果ではなく、美しさがあるかどうかなど)
  • 成長機会のある仕事を選べ
  • 説得力を高めよ
  • チャンスを逃すな

●バランス志向(Getting balanced)の人

  • 求められる成果を出せ
  • スポンサー(支援者)を得よ
  • 自分の立てたキャリア戦略にこだわれ
  • 魅力的な仕事のオファーに惑わされるな
  • タイミングを見極めろ

 それぞれの戦略を客観的に眺めると、賛否両論がありそうですが、自分が該当するキャリアの志向性における基本戦略としては、おおむね納得していただけるのではないでしょうか。

参考文献
▼『Managing The New Careerists』
C.Brooklyn Derr著、JOSSEY-BASS
『Training Games for Career Development』
James J. Kirk、Lynne D. Kirk著、Mcgraw-Hill

筆者紹介

松尾 順(まつお じゅん)

 1964年福岡県生まれ。早稲田大学商学部出身。市場調査会社、IT系シンクタンク、広告会社、ネットサービスベンチャー、ネット関連ソフト開発・販売会社を経て、2001年より有限会社シャープマインド代表。マーケティングリサーチ、広告プロモーション企画&プロデュース、Webサイト開発企画&プロデュースを多数手掛ける一方、キャリア理論や心理カウンセリング、コーチングを学び、主に個人を対象とするキャリアアドバイザーとしての仕事を増やしてきている。顧客心理の理解向上を目指す「マインドリーディング・ブログ」主宰。「シナプスマーケティングカレッジ」講師。



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