「提案書」や「要件定義書」は書くのが難しい。読む人がITの専門家ではないからだ。専門用語を使わず、高度な内容を的確に伝えるにはどうすればいいか。「提案書」「要件定義書」の書き方を通じて、「誰にでも伝わる」文章術を伝授する。
顧客に伝わる文書にするには、書き手の考えや意図、提示したい情報などを、正確かつ確実に読み手(顧客)に理解してもらえる文章を記述しなければなりません。今回から2回にわたって、顧客に伝わる文章を記述するためのポイントを紹介します。まず「分かりにくい例文」を取り上げてどこが分かりにくいのか解説し、その後に分かりやすい文章へと修正していきます。
文章を記述する際の基本は、1つの文章で1つの内容(事柄、情報など)だけを伝えることです。1つの文章で多くの内容を伝えようとすると、長くて分かりにくい文章になってしまいます。以下の点を考慮して文章を記述します。
主語が1つだけの短い文章を組み合わせて、伝えたいことを表します。そのためには「〜であり」「〜しており」「〜なので」や、助詞の「が」など、文章を継続する表現を使わないようにします。伝えたい内容が多いときには、こうした表現を使って文章を継続してしまいがちです。しかし、それは避けましょう。継続しようとする箇所で、句点を使って文章を区切ります。また、必要であれば接続詞を使って文章をスムーズに繋ぎます。
アプリケーションソフトとOSは異なる種類のソフトウェアであり、アプリケーションソフトは特定の実際的な仕事に使用するものであり、OSは基本ソフトと呼ばれるソフトウェアであり、アプリケーションソフトはOSがなければ使えない。
アプリケーションソフトとOSは異なる種類のソフトウェアである。アプリケーションソフトは特定の実際の仕事に使用するソフトウェアである。一方、OSは基本ソフトと呼ばれるソフトウェアである。そして、アプリケーションソフトはOSがなければ使えないのである。
クラウドコンピューティング利用の流れが世界的に加速しており、クラウドコンピューティングの利用は中小企業やベンチャー企業にとってメリットが大きいのであるが、日本での利用は一部の企業にとどまっており、相当数の企業が重要データの秘密保持などの点に不安を持ち利用に二の足を踏んでいる。
クラウドコンピューティング利用の流れが世界的に加速している。クラウドコンピューティングの利用は中小企業やベンチャー企業にとってメリットが大きい。しかし、日本での利用は一部の企業にとどまっている。これは、相当数の企業が重要データの秘密保持などの点に不安を持ち利用に二の足を踏んでいるからである。
このプロジェクトの仕事は、すでに稼働中の検索システムを基盤ソフト上に移行することであるが、移行作業そのものについてはクリアすべき技術的な課題はないが、担当者は既存のデータの扱いに関して幾つかの問題が生じると予測している。
このプロジェクトの仕事は、すでに稼働中の検索システムを基盤ソフト上に移行することである。その際、移行作業そのものについてはクリアすべき技術的な課題はない。しかし、担当者は既存のデータの扱いに関して幾つかの問題が生じると予測している。
多くの事柄を1つの文章で伝えようとして、語句や文節を組み合わせた「長い修飾語」を使ってしまうことがあります。しかし、それでは長いうえに分かりにくい文章になってしまいます。そこで、修飾語をできるだけ短くする工夫をします。例えば下記のように文章を分けて、修飾語と修飾される部分をそれぞれ1つの文章にします。
インターネット上の価格比較サイトと呼ばれるサイトで特定の商品の価格を比較できるサービスの利用者はますます増えている。
インターネット上の価格比較サイトと呼ばれるサイトでは、特定の商品の価格を比較できます。このサービスの利用者はますます増えている。
述語は、できるだけ主語の近くに置きましょう。主語と述語が離れると、文章が非常に読みにくくなります。
利用者は、画面に“NG”の文字が表示されているときや装置右下のランプが点滅しているときには、システムを利用できません。
画面に“NG”の文字が表示されているときや装置右下のランプが点滅しているときには、利用者はシステムを利用できません。
日本語の文章では、主語を省略した方が読みやすくなる場合があります。そのため、安易に主語を省略してしまいがちです。しかし、主語が省略できるのは、「すべての読み手が省略された主語を容易に推測できる」場合だけです。そうでない場合は、主語をきちんと記述しなければなりません。
この受発注システムは、VPNを使ってセキュリティを確保している。そのため、社外からでも安全にアクセスできる(2つ目の文章は主語がないため意味が分かりにくい)。
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