「ネットワークグラフ」は、フォークの開発状況を視覚的に表す機能です。GitHubなどで公開されているソフトウェアは、ホビーユースで開発されているものも多く、そのような開発は開発者のモチベーションや作業時間が取れるかどうかに大きく依存し、開発が止まってしまうことも珍しくありません。
そのような場合は、別の開発者がリポジトリをフォークして開発を継続することができます。ただし、フォークが発生した場合、改良されたフォークに気が付かず、開発が止まったもとのリポジトリのバージョンをそのまま使い続けてしまったり、他の人のフォークに気が付かずに同じような機能を重複して実装してしまったりすることがあります。この問題を解決するために、ネットワークグラフ機能が実装されています。
この機能はちょっと分かりづらいので、具体的な利用例で見ていきましょう。
「Redmine Local Avatars」プラグインというRedmineにアバターを登録するためのプラグインがあります。筆者は最新のRedmine 2.0で、このプラグインを利用したかったのですが、このプラグインのオリジナルのUbikさんのブランチは、Redmine 2.0では動作しませんでした。
ここで、Redmine Local Avatarsプラグインのネットワークグラフを見てみましょう(実際のGitHub上のネットワークグラフは、こちら)。
このリポジトリのネットワークグラフを見ると、alminiumさんのフォークに「redmine-2.0.x」という、いかにもRedmine 2.0で動作しそうなブランチを発見できます。
また、各コミットにカーソルを合わせるとコミットメッセージがポップアップするのですが、luckvalさんのmasterブランチの1つ手前のコミットにカーソルを合わせると、次のようなメッセージがポップアップしました。
「support rails3」という文字が見えます。Redmine 1.xはRails2を利用していましたが、Redmine 2.xからRails3を利用しているので、「support rails3」からこのブランチはRedmine 2.0をサポートしているだろう、ということが推測できます。
このようにネットワークグラフを活用することによって、たくさんのフォークの中から自分が欲しい機能を実装したフォークを素早く見付けることができます。
たくさんのフォークがあると、フォークからさらにフォークされたりして、最初に作られた大元のリポジトリが、そもそもどれなのか分からなくなることがあります。そのような場合は、リポジトリの下にフォークの場合は、フォークしたリポジトリが表示されているので、そのフォークを追っていくことにより、大元のリポジトリを探せます。
Wikiは「GitHub Flavor Markdown」と呼ばれるフォーマットが使え、テキストでも直観的に分かるWikiページを作成できます。
また、Gitリポジトリの「gh-pages」ブランチを作成し、そのブランチの中にHTMLを配置するだけで、Webサイトを作成できます。Webサイトを0から作るのが面倒な人は、Webページ作成ウィザードにより、スタイルを選択してWebサイトのひな型を作成することも可能です。
筆者は、オープンソースソフトウェアの公開・開発をいくつか行っていますが、ソースコードに見ず知らずの人が集まってきて、フィードバックをもらったり、開発に参加してもらったり、GitHubで提唱されている「ソーシャルコーディング」の源流となる開発スタイルがそこにありました。
GitHubには、リポジトリや開発者のタイムラインのウオッチ機能により、ソーシャルコーディングとして、不特定多数の人と人が結び付きながら開発するスタイルを、確立させたところが人気の秘密だと思っています。
ソーシャルコーディングは、パーティーを組んで洞窟や城を探検するMMORPGに似ているところがあります。その時々で旅先で合う仲間と協力しながらソフトウェアを開発するのは、いろいろな人の出会いがあり楽しいものです。
もちろん、パーティーから離れられたり、自分が離れたりという別れもあります。MMORPGとソーシャルコーディングで最も異なるのは、そこには「仮想的な世界の出来事」ではなく、「実際に有用で使えるコード」が残るという点です。
まずは、GitHubを便利を使えるようになったら、次のステップとしてソーシャルコーディングの世界を体験してみてください。
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