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» 2014年06月20日 18時27分 公開

システム運用管理に関わる読者の声 IaaS、クラウド、どうしてる?@IT読者1000人くらいと識者に聞きました(1)(2/2 ページ)

[原田美穂,@IT]
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IaaSなどのサービス利用状況は? 実はIaaSバージンも少なくない

 IaaSを「既に利用している」と回答した読者の多くは、Amazon Web Services(AWS)を利用している、という結果が出た。クラウドサービス市場をけん引し、次々と新しいサービスを発表してきたのがAWSであった、過去数年の情勢が反映されているといえるかもしれない。

 一方で、約4割程度の読者がいまだにIaaSを利用していない状況があることも浮き彫りになった。

 また、IaaSに対する不安要素に対する質問では、「セキュリティの不安」「トラブルに自社で対応できない不安」「サービスの可用性への不安」の順で回答数が多かった。

 現実問題として、サービスレベルの品質保証について、SLA要件上、IaaSを選定できないケースもあるだろうが、一方で、心理的な障壁が高かったり、事業者との責任分岐点をどこに定めるか、といった具体的な検討プロセスに落とし込めていなかったりするケースもあるのではないだろうか。

 これについては、過去の@IT記事「なぜクラウドは『不安』なのか(前編):クラウドコンピューティングの心理的課題」(2010年7月7日掲載)でも言及がある通りだ。

 例えばオンデマンドでの調達は、クラウドサービスの魅力的な長所の1つだが、詳しくない人にとっては敷居の高い特長でもある。データセンターがどこにあるのか、バックアップやミラーリングはどのデータセンターで行われているのかも、オンラインで利用許諾書類を一瞥しただけでは心もとないと思う向きもあるだろう。

 同じく過去の@IT記事「なぜクラウドは「不安」なのか(後編):クラウド利用時にクリアすべきリスクと課題」では、データの置き場所や格納データの性質によるリスクなどを解説している。

 利用に際しては、責任分岐点がどこにあるのかも明確にする必要がある。約款やSLAの保証内容に留意することに加え、締結した内容に従ったクラウド事業者のサービス履行状況についてもしっかりと確認する必要がある。

 こう考えると確かに、業務で使う何らかのシステム基盤を、ゼロから検討するのはいかにもハードルが高い。中にはSIerが自社で展開するサービスと併せて、上記要件についても別途契約の上で、要求にかなったサービスを提供するケースもある。

 また、SIerに頼らずとも、特に国産IaaSプロバイダーに顕著なのが、一定の要件を想定したパッケージ型の展開を行っているケースだ。例えば、Eコマースサイトのバックエンド向けに特化したサービスや、既存オンプレミス環境と類似の構成で見積もりが取れるよう工夫を凝らしたサービスもある。

 国産あるいは日本国内にサポートオフィスがあるサービス事業者の場合、問い合わせに日本語で、日本の営業時間内に対応する点がメリットとなるケースもある。

 IaaS事業者を含むクラウドサービス事業者全般を広くウォッチし、独自の指標で定点観測をしている、川田大輔氏は、「クラウドは安全か? 事業者との責任分界点、注目すべき安全基準とは」(TechTargetジャパン)と題する記事において、選定の際に注意すべき点を以下のように指摘している。

……利用者は取引を検討している事業者が提供する役務が、

  • 各リスクドメインについて対応する機能を持っているか?
  • 機能について、全般的な品質(QMS)、情報セキュリティ(ISMS)、可用性(ITSMS)、事業継続性(BCMS)といった各着眼点でPDCAサイクルを文書化して回し改善することを組織文化に定着させているか?
  • 認証の取得範囲は? 事業者はSAS70や18号監査、さらに今後はISAE3402報告として利用者に認証内容などを提出可能か?
  • 利用者への認証内容の提出に当たっての条件は?

といった観点で自身の要求と候補となる役務の内容や取引条件を比較することで、少なくとも既知の地雷=リスクを踏むことが避けられる。もっと言うなら、どの地雷を踏むかを利用者責任で決断できる。もう一歩踏み込んで特定の利用目的、例えばクレジットカード情報とその取引情報を取り扱いたい場合はPCI DSS認定といった追加要件を付加して検討していけばよい。


 編集部では、川田氏にあらためて取材、IaaSを中心とするクラウドサービス事業者側の現状や今後の方向性、今後のITインフラ基盤の在り方について話を聞いた。次回は川田氏の見解を中心に紹介していく。

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