「あなたは2020年、IT技術にどのように携わっていたいと考えますか? その内容についてご自由にお答えください(フリー回答・必須)」という質問に対しても約1300件と多くの回答が寄せられた。
さすがに6年後の話ともなると、「分からない」とする回答も多く見られたが、次世代技術にどう関わっているか、自分がどうなっているか、6年後のIT技術を取り巻く環境がどうなっているか、などそれぞれの思いをはせた内容となった。
「死ぬまでプログラミングで食べていきたい」「新しいIT技術を取り入れ続ける技術者でいたい」というように、現役の技術者であることを希望するものから、プロジェクトマネージャー、コンサルティング、CIO、経営者、エバンジェリスト、エンドユーザーなどになることを希望するものまで、多種多様な回答が多く見られた。開発現場を離れるにせよ、「どこかの分野でその時代の最先端技術に関わっていたい」とするものも目立った傾向である。
また、IT技術を通して、ユーザー企業への提案、地方の活性化、高齢化社会への貢献、後進育成・教育、などより広い視野を持った回答も多く見られた。以下、いくつか引用しよう。
今後、ITに対する取り組みのさまざまな垣根が低くなり、また一方でセキュリティや構築・運用の勉強をしていない管理者が増えることだろう。一見すると便利になっているが、全体としては「セキュリティが保てない」「保守ができない」「全体最適化ができない」という混乱した状況も生まれていると思う。
ビッグデータ分析を経営に活用した企業のボードメンバーとして成功を勝ち取りたい。海外のITと違い、国内の大手SIer経営陣はコードが書けない人が大半を占める。これまで「センス」と呼ばれていた複雑な最適解をビッグデータ分析から導くことができると信じているが、コードを書けない経営陣には理解できず、経営判断を半ばITに委ねることは実現できないと思う。そういった弱体化する大手SIerに頭脳で割りこみたい。
プログラミング言語を知らなくてもアプリを作れるソリューションが登場したり、クラウド化でオンプレミスのサーバーが減っていったり、今後2020年までにエンジニアの必要な絶対数は減少していく。そういった流れの中で常に価値のあるエンジニアでありたい。
技術進歩の激しい業界だからこそ、常に新しいことにワクワク・ドキドキ感を見いだしながら、刺激を楽しんで自己のスキルアップ・キャッチアップを続けていたい。
現在は、いわゆる業務アプリの開発に携わっているが、2020年においても業務アプリの需要はあると考えている。また現在の形のパソコンも「業務用途では残る」と考えている。従って、開発手法・環境は異なっていても、業務アプリの開発に携わっていたい。社会全体に影響を与えるシステムでなくても、小規模の組織・グループに喜ばれるものを作りたい。
ディスプレーの中でのモノの開発だけではなく、今後は3Dプリンターを使用した、いわば現物の開発も進んでいくことと思います。そうなると、物流システム、販売のためのシステム、開発のためのシステムが大きく変わると考えています。今後、生産と消費の現場に3Dプリンターが普及していけば、それくらい大きなインパクトを与えると予想しているので、できれば3Dプリンターを使用した現物開発にも挑戦してみたいです。
今の仕事が楽しいという思いと、上から目線で周りの目ばかり気にして自分の意見を持っていないアホな管理職ではなく、やっぱり(年齢的に難しいかもしれないが)自分自身が最前線に立って活躍していたい。
最先端に常にいたい半面、レガシーも大切にしていきたい。障害は「必ず起きる」ので、常に意識を変えず敏感な自分のアンテナを常にピカピカに磨いておきたい。好奇心のアンテナと一緒に!
昨今の情報セキュリティに関する需要増大は今後も続くと思われ、関連するスキル習得者の必要性が増すことは確実。それらに関連する業務に関わり、セキュリティレベル向上に貢献したい。
自分の開発業務としてLinuxのカーネル技術やドライバー開発技術により詳しくなると同時に、開発業務とは別にHTML5関連で、ちょっとしたアプリ開発なんかを楽しみつつ、ノウハウを他人に伝えられるような形で関わりたい。
最後に、アンケートの基本的な属性をまとめて紹介しておこう。幅広い年齢・業種・役職の方に回答いただいている。
本特集「ITエンジニアの未来ラボ」の次回は、ITエンジニアは未来に向けてどのような道を歩むべきか、インタビューを通じてお届けする予定だ。
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