Office 365において、社内の機密情報や個人情報などの漏えいを防ぐための仕組みが「Data Loss Prevention(DLP:データ損失防止)」機能だ。
本連載第8回でも説明したが、Office 365の管理センターには「コンプライアンスセンター」が実装されて、機能が拡張され続けている。
今回、SharePoint OnlineとOneDrive for Businessに格納されたOfficeドキュメントに対して、DLPを設定できるようになった。Office 365の各テナントに対しても、徐々に提供が始まっているようだ。
DLPは、以下の手順で実装できる。
Office 365の「コンプライアンスセンター」のメニューから「データ損失防止」設定画面を表示する(画面6)。
メールに関するポリシーの設定は、従来通り、「Exchange管理センター」から行う。「コンプライアンスセンター」で設定するのは、SharePoint OnlineとOneDrive for Businessのポリシーだ。DLPを設定するサービスは「場所」メニューで決定する(画面7)。
DLPを設定するサービスを決定したら、次に「規則」を設定する。「規則」画面に移動すると「DLPルールエディター」が起動するので、「条件」→「処理」の順番で設定する(画面8、画面9)。
最後に「インシデントレポート」を設定して、「ポリシー名」を入力すれば規則の作成は完了だ(画面10)。ただし、現時点(2015年11月末)でリポート機能は未リリースとなっている。
例えば、OneDrive for BusinessにExcelドキュメントを作成し、クレジットカード番号を入力して保存してみよう(画面11)。すぐにOffice 365の管理者に「DLPポリシーに違反した」という内容のメールが送信される(画面12)。
「コンプライアンスセンター」では、メール、SharePoint Online、OneDrive for Business 上のドキュメントをDLPポリシーに関連するキーワードで検索することができる(画面13)。一つの画面で複数の場所を検索して、結果を得られるのはとても便利だ。
なお、「アクセス許可」画面で「Organization Management」の管理権限を割り当てれば、検索結果をプレビュー表示することもできるようだ(2015年11月末時点では未確認)。
まだ完全リリース版ではないが、DLPがメール以外のドキュメントで利用できたり、一箇所から検索できたりすることは、Office 365の管理者としても大いに歓迎できるアップデートだろう。
公開されているOffice 365のリリースロードマップによると、管理機能は継続的にアップデートされていく予定だ。また、ユーザーからのフィードバックを受けて機能が拡張されることも少なくない。気になる点があったら、Webブラウザーに表示される「フィードバック」から送信しておこう。
株式会社IPイノベーションズ所属のマイクロソフト認定トレーナー。主に、Windows Server Active Directory、SQL Server、Office 365などを担当し、マイクロソフト認定コースや要望に沿ったカスタマイズコースを実施している。Microsoft MVP for Office 365(Jul 2015 - Jun 2016)を受賞。
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