2015年6月、Windows PowerShellの開発チームが公式ブログにおいて、PowerShellにSecure Shell(SSH)のサポートを追加する計画があることを明らかにしました。
まだ開発の初期段階であり、実運用環境で利用できるようにはなっていませんが、「Win32 port of OpenSSH」(OpenSSH for Windows)として2015年10月にソースコードが一般公開されています。
最近、Hyper-VやMicrosoft Azureでは、Linuxやオープンソースのサポートが積極的に進んでいます。しかし現状、WindowsからLinuxにセキュアにSSH接続するためには、Windows側に「PuTTY」や「Git for Windows」のようなオープンソースツールを準備する必要があります。また、SSH接続のための公開鍵および秘密鍵の作成のために、PuTTYgen(PuTTYに含まれる)やOpenSSL(Git for Windowsに含まれる)を使用する必要もあります。
Windows側でオープンソースツールに頼る今の状況は、利用しているツールを最新状態に維持するのが面倒です。PowerShellがOpenSSHをサポートすることになれば、追加のツールを準備する必要がなくなりますし、脆弱(ぜいじゃく)性が問題になるオープンソースのOpenSSLやLibreSSLの代わりに、Windows標準の暗号化API(Cryptographic API)を利用した鍵の作成が可能になります。
OpenSSH for Windowsは、個人的にとても期待しているプロジェクトの一つです。
次期Windows Serverである「Windows Server 2016」の初めてのプレビュー版は、2014年10月に公開されました。2015年には5月のTechnical Preview(TP)2、8月のTP3、11月のTP4と、3回のプレビューが提供されました。その中で筆者が注目するのは、TP2で初めて提供された「Nano Server」です。
Windows ServerにはWindows Server 2008以降、「Server Core」というGUI(Graphical User Interface)を廃したインストールオプションが提供されるようになりましたが、Nano Serverはクラウドに最適化された軽量OSとして一から設計されたWindows Serverのリファクタリングバージョンになります。
従来のServer Coreと比べても、ディスク使用量が700MB程度と劇的にフットプリントが小さく、その結果、少ないリソースで動作し、さらにコンポーネントが少ない分、セキュリティが向上するという利点があります。そして、Nano Serverでは、Hyper-Vやファイルサーバー、IIS、DNSサーバー、コンテナーなどの役割を実行できますし、PHPやPython、Node.js、Chef、Nginx、MySQLといったアプリケーションを実行できます。
Nano Serverを利用すれば、これまでOS用に確保していたリソースの大部分をアプリケーションに振り分けることができるようになるでしょう。2016年、Windows Server 2016が正式リリースとなれば、特にクラウド上のインスタンスはNano Serverが主流になるのではないでしょうか。
とても小さなNano Serverですが、気になるのはライセンス的にどうなるのかです。プロセッサーのメニーコア化に合わせて、従来のソケット数ベースからコア数ベースに変更されます。Nano Serverのインスタンスは、通常のWindows Serverインスタンス(OSE)の1つとして数えられるようです。たとえ数百MBと小さくても、ライセンス的にはWindows Serverということです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.