SASが開発者フレンドリーな新アーキテクチャに基づく分析製品の第1弾を国内発表「SAS Viya」で利用者と用途を拡大

SAS Institute Japanは、新アーキテクチャ「SAS Viya」と、これに基づく第1弾製品「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」の国内提供開始を発表した。SAS Viyaは、SASが提供してきた機能の利用者および用途を広げるために、これらをより「オープン」に提供する取り組みだ。

» 2016年11月02日 08時30分 公開
[三木泉@IT]

 SAS Institute Japanは2016年11月1日、米SASが2016年4月に発表した新アーキテクチャ「SAS Viya」と、これに基づく第1弾製品「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」の国内提供開始を発表した。

 SAS Viyaは、SASが提供してきた統計分析/機械学習/ディープラーニング/コグニティブコンピューティング/AIのアルゴリズムの利用者および用途を広げるために、これらをより「オープン」に提供する取り組み。この場合の「オープン」は、次の意味を持つ。

 SAS Viyaでは、Cloud Foundryをプラットフォームとし、同社のアプリケーション群をコンテナ化して提供する。これらのアプリケーションは、同社のインメモリデータマネジメントとHDFSを統合したデータ管理機能を利用できる。コンテナ化によって多様なオンプレミス、クラウド環境に導入・利用できることになる。米SASは、SAS Viyaに対応したソフトウェアを、2017年にはSaaSとしても提供開始する予定。日本での提供形態は、国内にデータセンターがある必要を考え、今後検討していくという。

SAS Viyaの概念図

 アプリケーションのグラフィカルインターフェースはHTML5に統一。さらにREST APIを提供。開発言語としてはPython、Lua、Javaを利用できる。

 これまでのSAS製品は、グラフィカルインターフェースの提供こそ段階的に進んでいたものの、アルゴリズムの本格的活用にはSAS言語を必要としていた。このため、この言語を習得している一部のデータサイエンティストに利用者が事実上限られていた。SAS ViyaではAPI経由で一般的なプログラミング言語から利用できることになり、ソフトウェア開発者が自身のアプリケーションにSASの各種アルゴリズムを組み込みやすくなる。

 SAS Viyaの国内における普及の見通しについて、SAS Institute Japan代表取締役社長の堀田徹哉氏は、「日本ではシステムインテグレーターが業務システムを構築するケースが多い。Javaで書いたアプリケーションからSASの機能を呼び出せるので、関心は高い」と話す。また、ビジネス推進本部事業企画グループマネージャーの小林泉氏は、ユーザー企業でも、最近はPythonを中心としたプログラミングスキルを持つスタッフが増えており、SAS Viyaはこうした人たちに歓迎されているとしている。

 なお、既存のSAS製品ラインは継続提供される。別個の開発チームで、それぞれ機能強化を進めていくという。また、既存製品ラインとSAS Viyaベースの製品間は連携でき、ユーザー組織はこれまでのSAS製品への投資を将来にわたって生かせるという。

 第1弾製品のVisual Data Mining and Machine Learningは、機械学習/コグニティブコンピューティングの各種アルゴリズムを搭載し、HTML5に基づくグラフィカルインターフェースで一般的な機械学習タスクを設定できる。第2弾製品としては、「SAS Visual Investigator」という不正取引検知のソフトウェアを提供するという。

 ソフトウェア開発者にとって機械学習/ディープラーニングのアルゴリズムの選択肢は広がっているが、米SASプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのライアン・シュミーデル(Ryan Schmiedl)氏は、SAS Viyaの場合、データの管理や準備からモデリング、スコアリングといった分析過程を包括的にカバーしていること、高度なアルゴリズムを豊富に搭載していることが差別化ポイントだと答えている。

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