秋田編:人口減少は単なる事実、課題は別にあるITエンジニア U&Iターンの理想と現実(20)(2/2 ページ)

» 2017年01月30日 05時00分 公開
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IT企業は「テーマ」にどう貢献するか

 地域のテーマに、IT企業はどのような貢献ができるでしょう。例えば筆者が働くウェブインパクト五城目コア(事業所)でしたら、Pepperが1つのツールとして有効です。

 わが社は豊橋コアでPepperを取り扱った実績を受け、ソフトバンクロボティクス社の「ロボアプリパートナー(Basic)」に認定され、「みんなのPepper」というサービスを展開しています。その技術力を使えば、五城目の特性を生かしながら、教育や観光、福祉といった多様な分野でPepperを利活用できるかもしれません。

 今はまだ単なる妄想ですが、地域のさまざまなプレイヤーと協働できる状況を作っておけば、チャンスが到来した際にはすぐに行動に移せる予感がします。それも、このBABAME BASEおよび入居企業とのコラボレーションの可能性を筆者が肌で感じているからかもしれません。

BABAME BASEでは多様な人との活発な交流が行われている(編集:写真には一部加工を加えています)

田舎で創造的な仕事をするための必須条件

 田舎ならではのテーマや話題があり、人々がそれぞれの強みを越境的に持ち寄り合う――これは、五城目町の注目すべき側面です。「自然が豊か」「満員電車と無縁」といった暮らしやすさはもちろんのこと、「創造的な仕事ができる可能性がある」ことも五城目町に移住するメリットです。

 逆にいえば、田舎で創発的、共創的な働き方を実現するためには、次の2つが必用です。

  • 地域の目指す方向性や掲げているテーマと、自分の興味、関心の領域に重なりがある
  • 多種多様な交流を通して柔軟にアイデアを膨らませられるオープンマインドを持っている

 田舎でもテーマ性を持ったクリエイティブな働き方ができることを筆者の経験に沿ってお伝えしました。

 とはいえ、筆者は田舎暮らしを全面的に皆さんにお勧めするわけではありません。都市部の当たり前と田舎の当たり前は異なりますので、移住後に「こんなはずじゃなかった……」という事態になってしまうかもしれません。次回はこうした「移住のよくある落とし穴や見るべき観点」を紹介します。

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筆者プロフィール

秋元悠史

ウェブインパクト五城目コアリーダー 秋元悠史

秋田県大仙市出身。新卒でIT企業に入社するも、1年半後には縁もゆかりもない島根県海士町に移住。離島で約5年半教育の仕事に携わる。

2016年4月にこれまた地縁も血縁もない秋田県五城目町に移住。「地元を捨てたのか」といじられながら、ウェブインパクトにジョインしながら、個人としても教育事業に携わり、2足の草鞋を履く日々。


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