Windowsデバイス向けアプリの開発には、Windowsフォーム/WPF(以上、デスクトップのみ)や純正UWP(仮称、XamarinではないMS純正の開発手法)/Xamarinなどのフレームワークが用意されている。VS 2017での改良の多くはXAML(WPF/純正UWP/Xamarin)を使った開発効率の向上に集中している。
その中でも特筆すべきは、XAMLのエディットコンティニューだ(WPFと純正UWPが対応)。デバッグ実行中にXAMLコードを書き換えて実行を継続できるのである(次の画像)。VS 2015から搭載されているライブビジュアルツリー/ライブプロパティエクスプローラーと組み合わせると、デバッグ中にUIコントロールの実際の値を調べ、メモリ上で値を書き換えて適切な値を見出し、ブレークしてXAMLコードを書き換え、そしてデバッグを継続できる。
「WPFで開発しているから、Visual Studioのバージョンアップなんて必要ない」と思っていると大間違いなのだ。WPF自体にあまり変化はなくとも、効率よく開発するための機能は着実に向上しているのである。
また、XAMLコードを直接編集しているときに便利そうな、構造ビジュアライザー(インデントガイド)も備わった(次の画像)。この構造ビジュアライザーは、C#やVBなどでも動作する。コードエディタにインデントガイドが表示されていれば働くようだ。
その他、純正UWP開発では必要な各種サイズのタイル画像を自動生成する機能など、細かな改良が加えられている。XamarinできちんとIntelliSenseが利くようになったのも、うれしいところだ。
ゲーム開発なら前述したようにUnity/Unreal Engine/Cocos2Dという3つのクロスプラットフォーム開発環境がサポートされている。また、クラウド開発のところで紹介したASP.NET CoreもWindows/Linux/macOSで動作するので、クロスプラットフォーム開発環境だといえる。そして、一般的なアプリのためには、CordovaとXamarinが用意されている。
CordovaはJavaScriptで開発する。Webアプリを移植する、あるいはWebアプリに慣れている開発者が開発するのに向いている。
XamarinはC#で開発する。UIの作り方には2通りあって、プラットフォームごとにそれぞれの流儀で行う方法と、XAMLで定義するXamarin.Formsという方法だ。
CordovaとXamarinは、iOS用とAndroid用のアプリが作れるためかVS 2017のインストーラー上では「モバイル開発」となっているが、UWPアプリも作れるのでWindows 10のデスクトップアプリ開発用でもある(次の画像)。業務アプリでも最近ではスマートフォンを含めたシステム開発が増えてきており、そのような用途にはCordovaやXamarinはぴったりだ。
「まとめ」といってまとめきれないほど、Visual Studio 2017で作れるものは多岐にわたる。「Visual StudioはWindows用のプログラムを作るための開発環境」だけでなくなっていることは、ご覧になっていただけたかと思う。さまざまなプラットフォーム/OS上で動作する、さまざまな種類のアプリを開発するためのツール。それがVS 2017の実態といってもよいだろう。
さらに本稿では触れなかったが、Mac上で動く「Visual Studio for Mac」も始動している(本稿執筆時点ではプレビュー版)。あるいは、そもそもがクロスプラットフォームで動作するコードエディタのVisual Studio Codeもある。ファミリーとしてのVisual Studioは、「クロスプラットフォームなアプリを開発するためのクロスプラットフォームな開発環境」となりつつある。こうした点も考えると、VSとはまさに「あらゆる開発者に向けた、あらゆる種類のアプリを、あらゆるプラットフォームで」開発するためのツールとなりつつあるということだ。
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