トイレにこもって3分間――感情コントロール「ステップ3 感情を鎮める」ストレスフルな職場でエンジニアが心穏やかに働くための5段階感情コントロール(4)(3/3 ページ)

» 2017年04月21日 05時00分 公開
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4 体の仕組みを利用する

 ネガティブな感情は、身体が持つ仕組みを利用して鎮めることもできます。

 テレビから学生時代に聴いていた懐かしい曲が流れてきて、あのときの感覚や感情が一瞬でよみがえってきたことはありませんか? これは、記憶の中で音楽と身体感覚が結び付いているからなのです。

 このように、何かを見たり、聞いたり、触れたり、味わったり、においを嗅いだりしたときに、過去に体験した情景や感情がよみがえる仕組みのことを、心理学用語では「アンカー」と言います。アンカーは、五感と感情との「条件付け」のことです。

 この仕組みを使うと、小さな感情なら比較的容易に鎮められます。

 例えば、スポーツ選手。試合前にコンディションを整えるために音楽を聴いている人が多くいますよね。音楽は感情を鎮める上で効果的です。ポップな曲は気分が明るくなりますし、スローなバラードは心が落ち着きます。

 スマートフォンに好きな音楽を入れておき、テンションがダウンしたらトイレにこもって3分間、サクッと音楽を聴くのはいかがでしょう?(笑)

 落ち込んでいるときには、とっておきの泣ける曲を聴いても良いでしょう。涙が出れば、感情を「外に出す」ことにもなりますからね。

 感情的になったときは、「口角を上げる」のも良い方法です。

 人が笑うとき、必ず口角が上がります。そこで、ネガティブな感情を抱いたとき、口角を「ニッ」と上げて笑うような表情を作ると、ネガティブな感情が中和されるような感じがします。この効果は私もかなり感じるので、日常的にやっています。

 なお、口角を上げるときは、無理に「笑顔を作ろう」とする必要はありません。ネガティブな感情を抱いているときに、無理に笑顔を作るのは難しい。単純に、口角を上げるだけでOKです。

 試しに今、実際に口角を「ニッ」と上げてみて、感覚にどんな変化があるかやってみてください。

 「あの場所に行くと落ち着く」「あれに触れると安らぐ」など、人によってさまざまな「アンカー」があります。あなたなりの「気分を変える方法」を探してみてください。



 今回は、感情の鎮め方についてお話しました。感情が鎮まったら、次のステップは「切り替える」です。次回(4月28日掲載)は、5段階感情コントロールのステップ4「感情の切り替え方」をお話しします。

書籍紹介

感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。

感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。

竹内義晴著 すばる舎 1566円(税込み)

自分の「感情スイッチ」を探し、より実践しやすい感情スイッチの切り替え方を、[気付く→受け入れる→鎮める→切り替える→活かす]の5つのステップで紹介していく

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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