Windows 10を搭載したPCを他人に譲渡する際や、マルウェアが感染して駆除が難しいような場合など、Windows 10を初期状態に戻したいことがあるだろう。このような場合、Windows 10の「このPCを初期状態に戻す」機能を使うと、簡単に初期状態に戻すことができる。その手順を紹介しよう。
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対象:Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)以降
マルウェアに感染して駆除が難しい場合や、何らかの理由でWindows 10に不具合が発生した場合など、Windows 10を初期状態に戻したいこともあるだろう。Windows 11へのアップグレードに備えて、肥大化したレジストリなどを整理する、といった場合にもWindows 10の初期化は有効だ。
またPCを別の人に譲渡したり、売却したりする際にも、内部のデータを削除してWindows 10を初期状態に戻しておくとよい。
本Tech TIPSではWindows 10の初期化する手順および注意点を説明する。
Windows 10を初期化するには、以下の3つの方法がある(機種によっては、工場出荷時に戻す独自機能を持つものもあるが、機種依存なのでここでは説明しない)。
初期化方法 | 個人データの保持 | Windowsの設定の保持 | インストール済みアプリの保持 |
---|---|---|---|
このPCを初期状態に戻す(個人用ファイルを保持する) | ○ | △(一部保持) | × |
このPCを初期状態に戻す(すべて削除する) | × | × | × |
再インストール | × | × | × |
Windows 10で利用可能な初期化方法 |
以下ではこの3種類の初期化方法について、それぞれ手順および注意点を説明する。
Windows 10が起動できる状態で初期化を行う場合、「このPCを初期状態に戻す」機能を使うのが簡単だ。「このPCを初期状態に戻す」機能は、[Windowsの設定]アプリの[更新とセキュリティ]−[回復]画面から実行できる。[回復]画面を開いたら、「このPCを初期状態に戻す」欄の[開始する]ボタンをクリックすればよい。
[このPCをリセットする]ウィザードが起動するので、画面の指示に従って進めれば、Windows 10の初期化が行える。初期化には、「個人用ファイルを保持する(アプリと設定は削除される)」と、「すべて削除する(個人用ファイルを含め全て削除される)」の2つの方法から選択できる。初期化の用途に合わせて選択すればよい。
ユーザーのデータファイルなどを残す場合は、[オプションを選んでください]画面で[個人用ファイルを保持する]を選択する。この場合、個人用のデータファイルやWindows 10の設定の一部(アカウント情報など)を残すことができる。ただし、アプリは削除されるので、再インストール時に必要なライセンスキーなどは後で入力できるようにメモしておく。Windows 10が不安定になったような場合は、[個人用ファイルを保持する]を選択するとよい。
次の画面で再インストール方法を[クラウドからダウンロード]と[ローカル再インストール]の2つから選択する。
[クラウドからダウンロード]を選択すると、クラウド上からWindows 10のインストールイメージをダウンロードしてインストールが行われる。イメージのダウンロードに際して、4GBを超えるデータ使用量(通信量とストレージ容量)が消費されるので注意してほしい。なお、編集部で試したところ、インストールされるバージョンは、初期化前のものと同じであった(Windows 10 May 2021 UpdateならばWindows 10 May 2021 Updateのままで、Windows 10 November 2021 Updateにはならない)。
[ローカル再インストール]は、ストレージ内にあるデータを利用して再インストールが行われる。ローカルにあるシステムファイルなどを使うため、通信量とストレージ容量ともに最低限で済む。Windows 10のシステムに不具合が生じていないのであれば、[ローカル再インストール]を選択した方が作業時間は短くて済む。
どちらを選択した場合も、ウィザードを進めて[リセット]ボタンをクリックすると、Windows 10の初期化が行われる。
初期化が実行されると、個人用のファイルを除き、アプリなどが消去される。アカウント情報や一部のWindows 10の設定は残っているので、再インストール完了後には、サインイン画面が表示される。サインイン後、Windows 10の初期設定が開始される。
PCを他人に譲渡したいような場合は、[個人用ファイルを保持する]を選択すると、個人情報が残ったままになってしまうので避けた方がよい。
Windows 10の再インストール後、必要に応じてアプリの再インストールが必要になる。なお、Windows 10のデスクトップには、削除したアプリの一覧がHTMLファイルで保存されるので、再インストールやセットアップの参考にするとよい。
[A]
他人にPCを譲る場合など、アプリや設定に加えて個人用ファイルも全て削除したい場合は、[オプションを選んでください]画面で[すべて削除する]を選択する。
また、[追加の設定]画面で[設定の変更]リンクをクリックすると、[設定の選択]画面が表示される。「データのクリーニングを実行しますか?」のスイッチを「はい」にすると、単にファイルを削除するだけでなく、ディスクの空き領域全体にダミーのデータを書き込む。
これにより、ディスク上に残っている削除済みファイルの痕跡を消し、データの復元を困難にする。ただし、クリーニングには時間がかかる他、SSDではその仕組み上、SSDの寿命を短くしてしまう可能性がある点には注意してほしい。
ウィザードを進めて、[リセット]ボタンをクリックすると、Windows 10の初期化が行われる。
初期化が実行されると、個人用のファイルやアプリ、Windows 10の設定などが全て消去される。Windows 10をクリーンインストールした場合と同等の状態になるため、起動後はアカウントの設定などから行う必要がある。
[A]
Windows 10が不安定になり、「このPCを初期状態に戻す」機能が実行できないような場合、インストールUSBメモリなどを使って、Windows 10を最初からインストールすればよい。ただし、再インストールとなるため、個人用データやインストールしたアプリは全て失われるので注意したい。
Windows 10のインストールイメージは、Microsoftの「Windows 10のダウンロード」ページでダウンロード可能だ。イメージのダウンロードは、別のPCで行い、作成したインストールUSBメモリなどで、再インストールしたいPCを起動すればよい(インストールUSBメモリの作成方法は、Tech TIPS「【Windows 10】『メディア作成ツール』でインストールUSBメモリを作る」を参考にしてほしい)。後は、Windows 10のインストールと手順は一緒だ。
なお、MicrosoftのWebサイトでダウンロード可能なWindows 10のバージョンは最新のものとなる。古いバージョンをインストールしたい場合、そのバージョンのインストールイメージを事前にダウンロードしておく必要があるので注意してほしい。
また、PCを売却したり、他人に譲渡したりするため、データのクリーニングを行いたい場合は、Tech TIPS「完全データ消去で廃棄ディスクからの情報漏えいを防ぐ(Windows diskpart編)」を参考にして、データを消去してから再インストールを実行してほしい。
【2022/08/19】最新の状況に合わせて記事を更新しました。
【2021/10/01】Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)以降の仕様変更にあわせて更新しました。
【2017/08/18】初版公開。
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