MicrosoftとCrayがスーパーコンピューティングで戦略的提携Azureで専用スーパーコンピュータシステムを提供

MicrosoftとCrayが戦略的提携を結んだ。Microsoft AzureでCrayのスーパーコンピュータを利用できるようにし、顧客のHPCやAIのニーズに対応していく。

» 2017年10月25日 13時30分 公開
[@IT]

 Microsoftとスーパーコンピュータ大手Crayは2017年10月23日(米国時間)、Microsoft Azure(以下、Azure)のデータセンターでCrayの専用スーパーコンピュータシステムを提供するという戦略的提携を結んだと発表した。

Webサイト「CRAY IN AZURE」

 両社は、Crayのスーパーコンピュータ「Cray XC」「Cray CS」、これらのスーパーコンピュータと接続された「ClusterStor Storage Systems」を、Azureデータセンターを使っている特定の顧客向けに提供。これらは、Azure Virtual Machine、Azure Data Lake Store、Microsoft AIプラットフォーム、Azure Machine Learningと簡単に連携できる。また顧客は、分析ソフトウェアスイート「Cray Urika-XC」やハイブリッドHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)管理ソフトウェア「CycleCloud」も利用できる。

 両社は提携のポイントを次のように説明している。

 「Crayの密結合システムアーキテクチャとインターコネクト『Aries』により、今日の企業が求める、コンピューティング能力、リアルタイムの洞察、スケーラブルなパフォーマンスに対応していく。顧客は、Azureにシームレスに接続されたスーパーコンピューティングを活用して問題解決力を高めることが容易になる。人工知能(AI)や高度な分析、モデリング、シミュレーションといったワークロードを実行できる。CrayとMicrosoftはこうしたメリットを、これまでオンプレミスでCrayのシステムを購入、活用できなかった新しい顧客層にも提供していく」

 具体的には、以下のような用途が、数日や数分で可能になるという。

  • 研究者、アナリスト、科学者が、医療用の画像処理や自動運転車などの分野でAIディープラーニングモデルの訓練を行う
  • 創薬に取り組む医薬品やバイオテクノロジーの研究者がゲノム解読を行い、創薬期間を短縮する
  • 自動車業界や航空宇宙業界の製品エンジニアが、衝突シミュレーションや計算流体力学の動的シミュレーションを行ったり、迅速で精度の高い製品開発や保守の最適化に向けて「デジタルツイン」を構築したりする
  • エネルギー企業の地球物理学者が、忠実度に優れた地震学画像処理や迅速な「油層キャラクタリゼーション」によって、油田分析をスピードアップし、探査リスクを軽減する

 Crayの社長兼CEOを務めるピーター・ウンガロ氏は、「提携により、顧客は競争力を高めるために必要なクラウドベースのスーパーコンピューティング能力を活用できるようになる」と述べている。

 MicrosoftのMicrosoft Azure担当コーポレートバイスプレジデントを務めるジェイソン・ザンダー氏は、「提携により、顧客はこれまで思いもよらなかった新しいシナリオを作ったり、妥協のないパフォーマンスとスケーラビリティを享受したりすることが可能になる。さらにHPCやAIを利用することで、科学やエンジニアリング、医療の分野でのブレークスルーを実現でき、新時代を開けるようになるだろう」と説明している。

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