[活性化関数]シグモイド関数(Sigmoid function)とは?AI・機械学習の用語辞典

用語「シグモイド関数(Sigmoid function)」について説明。座標点(0, 0.5)を基点(変曲点)として点対称となるS字型の滑らかな曲線で、「0」〜「1」の間の値を返す、ニューラルネットワークの活性化関数を指す。

» 2020年03月04日 05時00分 公開
[一色政彦デジタルアドバンテージ]
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連載目次

用語解説

 AI/機械学習のニューラルネットワークにおけるシグモイド関数Sigmoid function、厳密には標準シグモイド関数Standard sigmoid function)とは、あらゆる入力値を0.01.0の範囲の数値に変換して出力する関数である。

 図1に示すように、座標点(0, 0.5)を基点(変曲点)として点対称で、S(=ς:シグマ)字型曲線のグラフになるため、「シグモイド関数」と呼ばれる。

図1 「シグモイド関数」のグラフ 図1 「シグモイド関数」のグラフ

 ニューラルネットワークの基礎となっている情報処理モデル「パーセプトロン」(後日解説)では「ステップ関数」という活性化関数が用いられていた。しかし、「バックプロパゲーション」(後日解説)が登場してからは(本稿で解説している)「シグモイド関数」が活性化関数として使われるようになった。さらに、最近のディープニューラルネットワークでは「ReLU」がよく使われるようになっている。

 バックプロパゲーションの処理過程では、「損失」を微分することになる。その際の、損失の計算項目の一つである「予測値」は、活性化関数を通して計算される。そのため、微分できないステップ関数の代わりに、微分可能differentiable)な「シグモイド関数」が活性化関数として採用されたというわけである。

 シグモイド関数は現在では、主に分類問題(二値)における出力層の活性化関数として用いられる。その場合、損失関数には(基本的に)交差エントロピー(Cross entropy、後日解説)が用いられる。

 主要ライブラリでは、次の関数/クラスで定義されている。

定義と数式

 冒頭では文章により説明したが、厳密に数式で表現すると次のようになる。

 eは「オイラー数*1Euler's numberネイピア数Napier's constant自然対数の底)と呼ばれる数学定数の一つで、約2.718281…という無理数(=小数点以下が無限に続く数)である。オイラー数は、微分計算がしやすいというメリットがある。具体的に上記の数式の導関数Derivative function:微分係数の関数)を求めると、次のように非常にシンプルな式になる。

*1 似て非なる用語に、オイラー・マスケローニ定数Euler-Mascheroni constantオイラーの定数)「γ」があるので、混同しないように注意してほしい。本稿ではEuler's numberとeが結び付くように「オイラー数」と表記したが、日本では「ネイピア数」と呼ぶ方が一般的である。


一般的なシグモイド関数について

 ちなみに冒頭でも説明したように、上記の数式、つまりニューラルネットワークにおけるシグモイド関数とは、厳密には「標準シグモイド関数」という特殊なシグモイド関数のことを指す(また、「標準ロジスティック関数Standard logistic function」と呼ばれることもある)。参考までに、一般的なシグモイド関数の式を示すと、下記のように表されることに注意してほしい。

 オイラー数eの指数に係数aが追加されているという違いがある。aは「ゲイン(gain)」と呼ばれ、0より大きい数値を指定できる。ゲインの値によって、S字のカーブがきつくなったり緩くなったりする。標準シグモイド関数とは、このゲインがa=1という「特殊な状態のシグモイド関数」を指すのである。

Pythonコード

 上記の標準シグモイド関数の数式をPythonコードの関数にするとリスト1のようになる。

import numpy as np

def sigmoid(x):
  return 1.0 / (1.0 + np.exp(-x))

リスト1 シグモイド関数のPythonコード例

 オイラー数で簡単に計算するため、ライブラリ「NumPy」をインポートしている。np.exp(-x)というコードがe−xという数式を表現している。expは、e(オイラー数)を底(base)とする指数関数exponential function)を意味する。ちなみにオイラー数(=ネイピア数)自体はnp.eで取得可能である。

 シグモイド関数の導関数(derivative function)のPythonコードも示しておくと、リスト2のようになる。

# リスト1のコードを先に記述する必要がある

def der_sigmoid(x):
  return sigmoid(x) * (1.0 - sigmoid(x))

リスト2 シグモイド関数の「導関数」のPythonコード例

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